No.387 ノーズワーク

ノーズワークとは、犬の嗅覚を使い、匂いを探し当てる遊びの一種です。犬はヒトが気付かない微量な匂いも嗅ぎ分けることができます。その嗅覚を活かした遊びがノーズワークです。ノーズワークは、狩猟本能に基づいた集中力を発揮することで、狩りを成功させるという体験を味わえます。ノーズワークは、ヒトが犬に教え込むものではありません。ヒトと犬がコミュニケーションを取りながら、犬が主体となって行うものです。

嗅覚がしっかりしていれば、どんな犬でも楽しめます。子犬から老犬、身体や視覚が不自由でも楽しめるのが魅力です。また、保護犬など心に傷を負った子のリハビリにも効果的です。臆病で自信がなく、人間に不信感を抱いている犬が、ノーズワークを通して自信を取り戻し協調性を養うこともできます。猫にも応用できます。

さらに、ノーズワークは、場所を選ばず狭い室内でも行えます。雨の日や散歩に行けない日は体力を持て余しがちです。そんなときにも、運動とストレス解消を兼ねたノーズワークでエネルギーを発散することができます。犬の好奇心や本能的な欲求を満たしながら、成功体験を積むことで自信に繋がるでしょう。

ノーズワークの具体的な方法をご説明します。市販のノーズワーク用のマットのおもちゃもありますが、ここでは家庭で簡単に出来る方法をご紹介します。

以下のものを準備してください。
・空き箱または、蓋に穴を開けたタッパー数個
・匂いが強いフードやおやつ
・ノーズワークマット(床のよだれ防止なので無くても良い)
空き箱でも良いですが、何度も繰り返し使えるタッパーがおすすめです。慣れてきて犬が簡単に見つけられるようになったら、匂いの弱いフードに変えても良いでしょう。

ノーズワークの進め方は、次の通りです。
1飼主さんがおやつを隠す。
2犬がおやつの匂いを元に探し、飼主さんに開けてくれるように合図をする。
3飼主さんが蓋を開けてあげる。
4犬が正解すれば、おやつが食べられる。

ノーズワークのやり方は難しくありません。犬の見えないところでおやつを空き箱やタッパーに入れたら、適当な場所に置いて犬に探させます。空き箱の場合は、中にフードを入れ適当な場所に置きます。犬がフードを見つければ、その場で食べられます。タッパーを使用する場合は蓋つきなので、犬が飼主さんに見つけたという合図をすれば、中に入っているおやつを食べられるというルールです。犬が迷っていたりフードが入っていないタッパーを選んだりしても飼主さんが正解を誘導するような行動をしてはいけません。初めは、おやつを入れたタッパーだけを使い飼主さんに合図をする練習をします。 何度か繰り返して学習したところでおやつの入っていないフェイクのタッパーも使って下さい。注意点として、おやつを入れるタッパーは必ず同じものを使用するようにしてください。あちこちに匂いが付いてしまうと犬が正解のタッパーを探せなくなります。

ノーズワークは犬にとって楽しいものですが集中力が必要です。意識して匂いを探し出すため飼主さんが想像する以上に疲れる作業でもあります。そのため、慣れている子であっても時間を決めて行い、適度に休憩を挟むようにしてください。初めて遊ぶ場合は5~10分程度を目安にすると良いです。犬の様子を見ながら集中力が切れる前に、おやつを見つけることができた状態で終わりにしましょう。コミュニケーション手段のひとつとして、「できたらいいね」というスタンスで取り組み、飼主さんも一緒になって楽しむことが大切です。犬が主体となって進める遊びなので自立心や独立心を養うことができます。飼主さんとの関係を深めるためのコミュニケーションの一環として、ぜひ楽しみながら行ってみてください。


犬はノーズワークが好きです