No.380 猫アレルギー性皮膚炎

猫アレルギー性皮膚炎とは、アレルギー症状を起こす原因物質であるアレルゲンによって、猫の体の中の免疫機構が過剰に反応するために生じる皮膚炎のことをいいます。大きく分けて「食物アレルギー性皮膚炎」「ノミアレルギー性皮膚炎」「環境アレルギー性皮膚炎」に分かれ、「環境アレルギー性皮膚炎」をいわゆる「アトピー性皮膚炎」といいます。また「環境アレルギー性皮膚炎」は「吸引アレルギー性皮膚炎」と「接触アレルギー性皮膚炎」に分けられます。原因が1つでない場合もあります。どの猫腫でも起きますが、とくにロシアンブルーで症状が酷くなる印象です。

・食物アレルギー性皮膚炎
アレルゲンとなる食物を摂取することによって引き起こされます。タンパク質が原因となることが多く、牛乳や肉類等が挙げられます。
・ノミアレルギー性皮膚炎
ノミの唾液中にあるタンパク質がアレルゲンとなり、ノミが猫の皮膚に寄生して吸血することでアレルギーを起こします。腰や尾の付け根、背骨に沿って病変が出ることが特徴です。
・吸引アレルギー性皮膚炎
ハウスダストや花粉、カビなどがアレルゲンとなり、これらを吸引することによって発症します。
・接触アレルギー性皮膚炎
じゅうたんや食器等など、身の回りにあるあらゆるものがアレルゲンとなり、アレルゲンに皮膚が触れることによって引き起こされます。

アレルギー性皮膚炎では、皮膚の痒みが主な症状で、体をしきりに舐めたり噛んだりする行動が見られます。症状が進行すると脱毛や発疹が見られます。食物アレルギーでは同時に外耳炎や、下痢などの消化器症状を引き起こすこともあります。また、接触アレルギーでは、原因となるアレルゲンと接触した部分に皮膚炎がみられます。

診断は、症状に加え、他の皮膚疾患や行動学的異常がないかどうかを鑑別診断し、アレルギー性皮膚炎の疑いが強ければ、ノミがいた形跡がないかどうか、除去食試験で食物アレルギーがないかを調べて、アトピー性皮膚炎かどうかの除去診断をしていきます。難治性の場合、診断が困難なときは皮膚生検を行う場合もあります。

内科治療にあたっては、副腎皮質ホルモン剤や悪い免疫反応を止める薬などを用いることによって、症状の緩和を行ないます。他に減感作療法を試みる場合もあります。アレルギーの原因をゆっくり身体に入れて最期には体に慣れさせてしまおうという治療法です。これらの治療にあわせて、猫のいる環境を清潔にすることでアレルゲンとなりうる物をなるべく排除するという環境づくりも重要となってきます。

予防は、食物性アレルギーや接触性アレルギーで原因物質がわかった場合はそれらと接触しないようにすることが、ノミアレルギー性皮膚炎ではノミの駆虫剤を定期的に使用することで予防することが出来ますが、他が原因となる場合や原因が特定できない時は予防は難しくなってきます。猫が痒がるという仕草はよく見られ、その原因はたくさんあります。飼い主さんの日々の観察が、原因の早期発見につながり、また猫の環境や、食事内容等を正確に伝えていただくことで早期治療が可能となります。普段から、猫とのスキンシップを心がけましょう。


猫のアレルギー性皮膚炎