東洋眼虫は、西パキスタンのパンジャブ産のイヌの瞬膜から発見されたのが最初です。8mm~16mmの白い細い小線虫の一種です。通常は犬、猫、キツネなどの眼結膜面に寄生しますが、ヒトにも寄生することがあります。成虫はその寄生部位の眼結膜面で卵を生み出し、虫卵は涙液や眼脂などに混入します。そのような涙液や眼脂をメマトイ(眼の周りにまとわりつく蠅の仲間)が摂取すると、その消化管に取り込まれ、発育し、約2週間後に感染幼虫となって吻近くに現れます。このメマトイが再び犬や猫の眼部で涙液や眼脂を摂取する時、結膜面に感染幼虫が放出され感染します。ヒトも同様の経過をとります。以前は西日本に多かったのですが、近年、関東地方でもみられるので注意が必要です。
症状は、結膜上や眼球上で東洋眼虫が動くので、物理的な刺激によって炎症を起こします。白眼が赤く充血し、結膜が腫れたり、目脂や涙が増え、眼をしきりに掻いたり擦りつけたりします。ヒトも同様な症状ですが、犬や猫よりも痛みが強いといわれています。
診断は、瞼をめくり、東洋眼虫が寄生していないか肉眼的に観察します。また、生理食塩水で眼を洗浄することで、虫体が押し出されて寄生が確認できることもあります。小さく細く白い虫なので見逃さない様に注意が必要です。
治療は虫体の除去です。除去の方法は、点眼麻酔、場合によっては全身麻酔を施した後、生理食塩水で眼を洗い、東洋眼虫を洗い流したりピンセットや綿棒で直接虫体を除去しますが、1回では取り切れないこともあり、数日の間に複数回の処置が必要なこともをあります。また、補助的な治療、予防としてフィラリア予防に使われる薬を投与しますが、成虫には効果がありません。
東洋眼虫