アメリカで行われた犬の食糞に関する調査で、飼主さんに犬の食糞を見たことがあるか聞いたところ、見た回数1~5回が7%、6回以上が16%でした。つまり4頭に1頭は食糞をしていることになります。その中でも食糞が多かった犬種は、シェットランドシープドッグとテリア種、ハウンド種でした。食への関心や好奇心が強い犬ほど、食糞が多くなるようです。
食糞は問題行動ととらえられがちですが、問題なのは人間側にとってであって、犬にとって特別な行動ではありません。例えば母犬が赤ちゃんのうんちを食べることがありますが、これは巣穴の衛生環境を保つためと考えられています。犬の祖先であるオオカミは草食動物のうんちを食べることがありますが、自分では消化できない食べ物の栄養を他の動物のうんちから摂取するためと考えられています。子犬の場合の食糞は飼主さんに何かを伝えたいときのシグナルであることが多いです。
食糞は病気が原因で起きている場合もあります。
・腸内寄生虫による栄養不足
・病気による消化不良(消化管、肝臓、膵臓の疾患)
・認知症
特に成犬で急にうんちを食べるようになった場合は注意が必要です。
また、食事量が足りていない時もあります。子犬の急速な成長に栄養が不足している場合などです。ペットショップやブリーダーなどで教わった量や増やし方をそのまま続けている場合もよく見られます。少なくとも1週間に1回は体重測定をして最適な量を与えましょう。フードの質が悪い場合もあります。
これらのことを除外すると、子犬の食糞の原因は、
・母犬と離れるのが早過ぎた
・飼主さんの気を引いている
・暇で退屈
・怒られたくない
などが挙げられます。
このような場合の具体的な対処法は、
1.うんちをしたら無言ですぐに片付ける
2.その時に誉めながらおやつをあげる
です。うんちをしているときに声をかける必要はありません。おやつをあげるときに大切なのは、スペシャルなおやつを用意することです。チーズやジャーキー、レバーなど、匂いが強くて柔らかめのものがオススメです。極少量で良いです。飼主さんの意向通りにできたときのみ食べられるものであることが重要なので普段は与えません。うんちよりも美味しいものがもらえると認識させることが大切です。片付けが終わったらご褒美がもらえるというルールを少しずつ覚えてもらいましょう。少しオーバーに褒めてあげることもご褒美になります。ルールを覚えることで、うんちが出た瞬間に食べるという行為は減っていきます。
次の段階では、うんちが出たら教えに来るということを覚えてもらいます。
1.うんちをしたら飼主さんの近くでお座りをさせる
2.うんちを片付けてからおやつを与え同時に褒める
少しずつ教えていくことで、食糞が減るとともに、うんちが出たら知らせに来てくれるようになります。
子犬の時期の食糞は珍しいことではありません