肥満が原因で生じる主な疾患2
泌尿生殖器疾患
不妊手術をした雌犬が高齢になると、尿道括約筋機能不全(尿失禁、お漏らし)が見られることが多くなります。理由は、まだ、明確ではありませんが、肥満による内臓の圧迫は発症を後押ししているようです。また、シュウ酸カルシウム結石も肥満により発症リスクが高まります。
腫瘍
人では肥満が閉経後に発症する乳癌の危険因子であることが指摘されています。犬猫でもメカニズムは不明ですが、疫学調査で肥満が乳癌の危険因子であるという結果が出ています。良性の脂肪腫の発生も肥満犬によく見られます。
呼吸器疾患
気管虚脱や軟口蓋過長症、パグ、ブルドッグ腫、ボストンテリアなどの短頭腫の呼吸困難も肥満によって症状が悪化します。また、体脂肪の増加に伴い熱中症のリスクも増大します。
麻酔リスク
脂肪組織は全身麻酔薬の貯蔵庫として機能するため、肥満動物の全身麻酔はリスクが増加することが報告されています。もちろん、前述の循環器、呼吸器の問題も理由となります。
関節疾患
体重の増加は各関節に過度の負担をかけます。通常、体重が倍になると、関節は4倍の強度が必要になると言われています。関節炎、前十字靭帯断裂や膝蓋骨脱臼、椎間板疾患の危険因子となります。
外耳炎、皮膚疾患
以外に思われるかもしれませんが、体脂肪の高い犬は、マラセチア(酵母型真菌、カビの一種です)性の外耳炎、膿皮症のリスクが有意に高くなることが報告されています。メカニズムは、まだ、分かっていません。
肥満は色々な疾患の危険因子となります。犬や猫にとっても、食事やおやつは大きな楽しみですが、ある程度はきちんとした管理が必要です。