犬や猫が突然に息を何度も吸い込みながら、フガフガと鼻を鳴らす動作のことを「逆くしゃみ」と言います(発作性呼吸とも言います)。くしゃみはクシュンと鼻から外に息を出しますが、逆くしゃみはその逆で、吸い込みながら鼻を鳴らします。通常のくしゃみの前にはお腹が膨らみますが、逆くしゃみの場合にはお腹が膨らみません。原因ははっきりとしていませんが、鼻の奥の筋肉のたるみや鼻孔の狭さ、各種のアレルギー疾患などが関係していると言われています。
逆くしゃみは小型犬の短頭種によくみられる症状です。代表的な犬種としてはチワワ、フレンチ・ブルドック、パグ、シーズー、ペキニーズ、トイプードルなどがあげられますが、その他の犬種でもみられます。犬や猫が突然喘息のように苦しそうな呼吸をはじめるため、命に関わる問題ではないのかと心配になるかもしれませんが、実際に呼吸が苦しいことはほとんどありません。たいていは数秒~1分以内にはおさまり、犬や猫は何事もなかったかのようになります。
ただし、逆くしゃみの回数が増えて来たり、時間が長くなって来た場合は、前述のアレルギー疾患の他、鼻炎や異物、ウイルスや細菌、真菌の感染症など、何らかの鼻や咽頭部の病気の可能性が考えられるのでご相談下さい。とくに副鼻腔炎にしてしまうととてもやっかいです(→No312 副鼻腔炎)。逆くしゃみの様子を動画で撮影しておき、見せていただけると診断がスムーズです。