鼻の内部を鼻腔といいます。鼻腔は中央にある鼻中隔と呼ばれる仕切りで左右に分かれ、その外壁には鼻甲介という凹凸のあるトンネルになっています。 鼻腔周囲の顔の骨には副鼻腔という空洞があり、前頭洞(額の裏側)、篩骨洞(鼻の間)、上顎洞(頬の裏側)、蝶形骨洞(鼻の奥)と呼ばれています(猫は前頭洞、蝶形骨洞)。副鼻腔は小さな自然穴で鼻腔と交通しています。副鼻腔は粘膜が鼻汁(鼻水)を作るほか、顔面の骨と頭蓋骨の重量を減らしつつ、骨の強度と形を維持させ、顔面への衝撃を吸収しています。また、鼻と副鼻腔の空洞部分は、鳴き声に響きを加えています。
副鼻腔炎は、様々な鼻腔疾患の炎症が副鼻腔の粘膜に波及する起こることで発症します。また、鼻腔で炎症が起きると、鼻の粘膜が腫れたり、粘り気のある鼻水が出てきます。この腫れや鼻水によって、副鼻腔と鼻の間の自然穴がふさがると、副鼻腔から分泌物や異物を排泄できなくなり悪化します。こうして起こるのが副鼻腔炎です。猫は上部気道感染症を慢性化させるとなりやすいです。
主な犬の鼻腔疾患
1.慢性鼻炎(23.7%)
2.腫瘍(15%)
3.真菌、口蓋裂(8.7%)
5.歯根膿瘍(4%)
6.寄生虫(イヌハイダニ)、異物、原発性細菌感染(1.3%)
猫の上部気道感染症:猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス、クラミジア、マイコプラズマ、ボルデテラ
主な猫の鼻腔疾患(上部気道感染症除く)
1.腫瘍(39%)
2.慢性鼻炎(35%)
3.異物(10%)
4.鼻咽頭狭窄(6.5%)
5.原発性細菌感染、鼻ポリープ、外鼻腔狭窄(2.6%)
8.外傷(1.7%)
いずれも最初の症状は鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目脂、臭いもわかり辛くなります。酷くなると呼吸困難、食欲不振、眼周囲の腫れなども伴います。原因にもよりますが副鼻腔炎になってしまうと治療が大変困難です。診断は、病歴、症状、鼻汁の培養検査、麻酔下でのレントゲン、CT、MRI、鼻腔鏡などが必要な場合もあります。鼻水やくしゃみが続くようなら早目に原因を追究して、適切な診断・治療が必要です。
副鼻腔炎の猫