犬の飼主さんで無駄吠えに悩んでいる方は多いです。無駄吠えが見られているとき、最初になぜ吠えているかを考えます。主に以下の5つに分類されます。
1.関心を求める行動
2.警戒信号
3.一緒に吠えている(社会的促進)
4.認知機能低下症(認知症)
5.分離不安
問題行動の治療は大きく3つの方法を組み合わせて行います。1つ目は環境の整備や調節、2つ目は行動療法、3つ目が薬物療法です。今回は主に1つ目と2つ目の方法を解説します。
1.関心を求める行動
おやつちょうだい、撫でで下さい、かまって下さい、という気持ちで吠えている場合です。この場合は、吠えても無駄と犬に思わせることが重要です。吠える行動は無視が基本です。予測可能なときは知育トイを与えます。
2.警戒信号
誰か来たよ、こっち来ないで、というときです。チャイムがなって吠えるのもこの状況です。いわゆるピンポンワンワンには、玄関に犬が出れないように柵を作っておき、ピンポンがなったら、大丈夫と教えるためにおやつをばら撒き、そちらに意識を向けます。また、普段からの練習として、ピンポンが鳴るとおやつを与えるを繰り返すことも必要です。
また、お散歩中に他の犬や子供、自転車などに吠える場合は、怖くて吠えています。距離をとり、他の行動をさせて、早く通り過ぎておやつを与えます。この時に、飼主さんの方を見てもらうため、普段からアイコンタクトの練習をしましょう。『名前を呼ぶ→顎の下におやつを持っていく→目があったら与える』を繰り返します。このアイコンタクトを使って、散歩中に横について歩けるようにします。
3.一緒に吠えている(社会的促進)
飼主さんが帰宅したときなどに嬉しくて吠えてしまう場合などです。その時に飼主さんが一緒に喜んでしまうと、犬も興奮して治まらなくなります。できるだけ、いつも通りの行動をして下さい。また、叱ると無駄吠えが酷くなるのも社会的促進です。問題行動が叱ることで解決することは、ほとんどありません。
4.認知機能低下症
認知症に完全になる前からの処置が大事です。
・脳と体への刺激(運動)
・抗酸化作用のあるフード・サプリメントの使用
・知育トイ
・ノーズワーク:犬に見えないところでおやつを入れた空き箱やタッパーを適当な場所に置き、それを探させるゲーム
・グータッチゲーム:じゃんけんのグーの中にでおやつを持ち、犬がタッチできたらおやつを与える
これらを組み合わせて、状況によっては投薬も考慮します。
5.分離不安
大好きで頼っている「仲間」の人間が出かけて物理的に離れてしまうと社会動物である犬は多かれ少なかれ不安に感じます。不安という気持ちが通常よりも強く出たり、不安な気持ちを抑える脳内ホルモンが足りなかったりするため、気持ちが落ち着かせられなくなり、動物たちはいろいろと派手な行動をして気持ちを抑えようとします。以下のことをしてみて下さい。
・「行ってきます」のあいさつをしない
・お出かけの10分くらい前に犬が長いこと遊んでいられるような知育トイを与える
・お出かけのフェイントをかける(出かけるとみせかけて出かけないなど)
・家の中で粗相をしたり破壊をするからと言って犬をケージの中に入れてお留守番をさせない(不安の強い犬を狭いところに無理に入れる と余計不安が増してケージにかみついてけがをしたり、ケージをひっか いて爪から出血したりします)
行動療法は、すぐに結果が出るものではありませんが、エンジョイしながら、まず1ヶ月頑張ってみて下さい。上手くいかない場合はご相談下さい。
こちらもご参照下さい
No111 認知症(CDS) 夜鳴き