No.269 紐状異物

犬や猫、フェレットは、紐や糸を誤飲してしまうことがあります。これは他の異物による閉塞よりも厄介で、腸の穿孔や壊死が生じやすいです。

紐や糸が腸に絡まると、腸はたぐり寄せられ、よじれた状態で閉塞してしまい、蠕動によって腸が切れてしまったり、虚血により壊死してしまう場合があります。

腸が完全に閉塞した場合には嘔吐、腹痛、食欲低下などの激しい症状が出ます。異物が胃の中にとどまっていれば無症状のこともありますが、後に腸に流れて閉塞する恐れがありますので、放置して大丈夫というわけではありません。

治療としては、異物が胃の中、十二指腸にある段階なら、通常、内視鏡で摘出することが可能です。十二指腸以降の腸に流れて閉塞している場合には、早急に手術をする必要があります。腸の損傷は時間が経つほど進行していきます。腸の壊死が広範囲に生じていたり、穿孔して腹膜炎になっていたりする場合は手術をしても助けらないことがありますので、早めの対処が重要となります。

紐状異物は特に猫において多くみられ、紐や糸そのものでなくても紐状のおもちゃ、衣服、布、絨毯などで危険性があります。紐で遊んでいて目を離したすきに誤飲してしまうという例が多いので、飲み込んでしまいそうな猫の場合は紐で遊ばないことです。

紐を誤飲しても運が良ければ流れて便に出てきます。しかし上記のように閉塞した場合には命に関わりますので、誤飲に気付いたらすぐに動物病院にご相談ください。特に嘔吐などの症状が出ている場合は緊急性がありますのでご注意ください。


内視鏡で摘出した紐状異物