食事が進まなくて時間がかかるようになった、一生懸命に食べようとしているのにフードが減っていかない、水分は飲めるが固形物を上手く食べられない、口元まで持って行っても受け付けない、寝たきりになってしまい食べられない。これらのような状態になり、自力での食事が難しくなくなってきた高齢動物へは、食べさせる工夫が必要となります。
最初に全身状態(基礎疾患の有無)、水和の状態(脱水していないか)、認知症の症状、口腔内の痛みや嚥下の問題がないかどうかを確認します。そして、まだまだ体は元気なのに、食べないという場合に、上手く食事をしてもらうにはいくつかのコツがあります。簡単な方法としては、トッピングをする、フードの種類を変える、フードを温める、柔らかさや形状を変える(片栗粉なども使えます)などがありますが、これらで上手く行かない場合は、ヒトからの給餌のお手伝いが必要となります。
動物をよく観察してフードが食べにくくないどうかを考えてみましょう。とくに口の開き方や舌の動きをよく見て下さい。高齢動物では、口や舌が上手く使えなくなって食べられなくなっている場合が多いです。食べにくそうであれば、食器を確認してみましょう。小さ過ぎたり大き過ぎる食器は食べ辛いです。食器の安定が悪く、食べているときに動いてしまうものも良くありません(食器の下に滑り止めを置いてみましょう、防滑防水ダイナグリップは使いやすいです)。首を上げづらくなってる場合もあるので、高さにも気を配りましょう(花台なども便利です)。また、高齢動物は食器の端にフードを押し付ける様にして食べるので、食器の真ん中に盛ってあげると食べやすいです。給餌を手伝うときのステンレスの食器とステンレスのスプーンのぶつかる金属音を嫌う場合もあります。
給餌の手伝い方は、動物の状態によって様々な方法がありますが、基本は以下のようにします。
・座らせて与える
・流動食の場合はシリンジを使用する
・固形物を柔らかくして手から与える場合は口に入る方を細くする
・後ろから保定して口の横から与える
・嚥下を確認してから次を与える
・一度にたくさん与えない
・給餌後背中を軽く叩いてゲップをさせる
・終了後30分くらいは、クッションなどを使用して体位を変えない(誤飲・誤嚥の予防)
・大型犬などでどうしても姿勢が保持できないときは左下に寝かせる(胃捻転の予防)
イメージがつかめない場合はお気軽にご相談下さい。
後ろから保定して口の横から与える