No.157 ボローニャの学会 (Congress 2017 in Bolonea)

10月28日・29日にイタリアのボローニャで開催された統合医療(近代西洋医学と西洋医学の力が及ばないところを代替療法を併せて行う療法)系のコングレス(獣医学会)に参加してきました。

ボローニャは日本語のイタリアのガイドブックにはほとんど載ってなく、パスタのボロネーゼの故郷ぐらいの知識しかありませんでしたが、レンガで出来たオレンジ色の古い建物と、たくさんの塔がある落ち着いた街並みで、1304年に世界で初めて公開人体解剖を行ったという欧州一古いボローニャ大学がある学園都市でもあり、非常に文化水準が高く魅力的な都市でした。また朝と夕方には犬と散歩をしている人がたくさんいました。中~大型犬が多いのですが、犬同士で遊ばせたり訓練も行き届いていている様子で、犬文化の日本との違いを感じました。

コングレスは、街の真ん中からタクシーで10分ほど走ったところにある、周辺に緑が多いモダンなホテルで開催されました。
教育的なものから統計、症例発表まで内容は様々でしたが、世界中の獣医師から2日間で多くの発表がありました。中でも『抗生剤を使わずにハイリスクの感染症の治療を行ったケース』『慢性腎不全の猫おけるサプリメントとホメオパシーとロ-フ-ドでの管理』『犬の新しい栄養学の考え方』などはとても勉強になりました。私も末席で気管虚脱の話をさせていただきました。
統合医療系の学会だったこともありますが、世界的な傾向として、ヒトの医学も獣医学も抗生剤をなるべく使用しない方向にシフトしている印象を受けました。栄養学もペットフードに頼らず自然食を使うことが見直されています。ヨーロッパではレストランもヴィ-ガン専用のレストランがとても増えてきています。学説は時代によって変わって行きますが、現代の獣医学は半年もすると、今まで当然のように行われていたことが突然否定されることが多々あります。新しいことが全て正しいことではありませんが、当院でも最新の世界基準の獣医学をきちんと行えるようにしなければならないと強く思いました。

最後に余談です。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、ボローニャ中央駅は1980年8月2日の午前10時25分にテロの被害を受け、当時20歳の日本人留学生1名を含む85名が亡くなっています。今でも駅舎の時計は10:25で止まったままです。


ボローニャの街並み

ボローニャの遠景

サン・ピエトロ大聖堂

世界初の人体解剖教室

本場のボロネーゼ

レストランの天井のフレスコ画

止まった時計