No.123 下痢 (Diarrhea)

下痢は日常によく遭遇する症状ですが、犬や猫が下痢をしている時に獣医さんが一番最初に考えることは大腸性の下痢なのか小腸性の下痢なのかということです。通常は犬では大腸性の下痢が起こることが多く猫では小腸性の下痢が多いです。

大腸性の下痢の便は
・1回の便の量が少量で通常時に比べて回数が増える
・粘液が混じる
・出血がある場合は鮮血が付く
小腸性の下痢の便は
・1回の便の量が大量で回数は通常時と変わらない
・粘液は混じらないことが多い
・出血がある場合は潜血となり黒っぽい便になる
まずは上記のような特徴から判断します。

主な原因としては
大腸性の下痢:食べ過ぎ、誤食、各種の感染症、食事に対するアレルギ-、腫瘍etc
小腸性の下痢:リンパ管拡張症、形質細胞性腸炎、膵臓や胆嚢の異常、ホルモンの異常、各種の感染症、腫瘍etc
このように両者とも原因は様々ですが、一般的に嘔吐や食欲不振などの他の症状がなければ大腸性の下痢の方が症状が軽い場合が多く治療も簡単なケースが多いです。一方小腸性の下痢は原因が複雑で診断・治療に時間がかかることがあります。大腸性の下痢なのか小腸性の下痢なのかを判断することは、必要な検査の選択、治療内容や予後を考えるときに大きな指針となります。

また、ウサギ、チンチラ、ハムスタ-、リス、ジリスなどのげっ歯類、普段あまり下痢をしない動物が下痢をしている場合は非常に危険な兆候です。一刻も早い処置が必要なことが多くあります。とくに若齢の動物は早目に動物病院を受診してください。