No.108 高齢動物の歯の疾患

一部の動物を除いて、歯は骨や爪と違い再生しません。歯の治療も早目に行うことが重要です。高齢動物に多い歯の疾患は歯肉炎と歯周病です。

歯肉炎と歯周病のサインは
・口臭、涎がひどい
・歯がグラつく、抜ける
・食事に時間がかかるようになった
・固いものを食べない
・歯茎が退行する
などです。

歯肉炎:歯垢や歯石の中に存在する細菌が原因となり、歯肉に炎症を起こした状態が歯肉炎です。歯の境目の歯茎の部分が炎症で赤くなり出血しやすくなります。また、歯と歯肉の間に歯垢や歯石が入り込んで歯周ポケットが形成されます。(→歯石

歯周病:昔は歯槽膿漏と呼ばれていました。歯肉炎が進行し歯周ポケットが深くなり、歯や歯肉だけでなく、歯根膜や歯槽骨にも損傷が拡がった状態です。ひどい場合は、歯根周囲に膿が溜り眼の下に穴が開いてしまったり(眼窩下膿瘍)、小さな動物では下顎が骨折してしまうこともあります。(→歯周病1 歯周病2

歯肉炎・歯周病の治療には基本的には全身麻酔下での処置が必要になります。歯肉炎・歯周病にならないように普段からのデンタルケア、歯磨きが推奨されます。デンタルケアのポイントは
・柔らかい歯ブラシを使う
・ペーストは発泡剤とキシリトールが入っていないものを使用する
・可能な限り若いうちから始める
です。歯磨きガムについてはあまりお勧めできません。慣れるまでは、デンタルケア、歯磨きが楽しいことだと条件づけするためにご褒美をあげるのも1つの方法です。最初は少しの時間からでも良いのでチャレンジしてみてください。