動物もヒトと同じように長生きになり、五感や免疫力、体の各機能が衰え、若いころは健康管理が十分でなくても元気に暮らせていたのに、歳を取ると、さまざまな病気にかかりやすくなったり、ちょっとしたことが大きな事故になったりします。少しでも長く快適に過ごせるように、歳を取った動物との付き合い方を知っておくことは非常に大事です。
歳を取ると現れてくる現象を「加齢減少」といい、この現象が『老化』です。老化は『体の成熟後に加齢に伴い起こる非可逆的な生理機能の衰え』と定義されています。老化は徐々に進行していく状態で、病気ではありません。年齢が上がると体の各細胞が置き換わる速さが遅くなり、体の各機能が低下していきます。簡単にいえば、白髪が増えた、目や耳が遠くなってきた、骨や関節が衰え動きが悪くなってきた、などが老化です。
老化が始まる年齢は、小・中型犬の場合7歳ころから、大型犬の場合5~6歳ころから、猫の場合は8歳ころからが目安です。小・中型犬で10歳ころから、大型犬の場合で7歳ころから、猫の場合は10歳ころから老化が加速します。老化のスピードは動物種、品種、個体によってそれぞれことなりますが、犬や猫の場合ヒトの4~5倍のスピードといわれています。
老化には「生理的な老化」と「病的な老化」があります。前者は年齢が上がればどの動物も経験する身体の変化です。後者は取るとかかりやすくなる病気が引き起こす身体の変化です。老化はある日突然に起こるわけではなく、毎日少しずつ進んでいきます。生理的な老化に病的な老化が加わると老化はより加速します。
次回は老化のサインの話です。