No.2 診断を付けるということ

診断を付けるということ

飼い主さんのお話、全身チェック、必要な各種検査、経過観察などを通じて診断を付け病気を快方に持って行くのは獣医師の仕事の1つです。

獣医学が進歩し、一昔前はわからなかった病気が診断できるようになり、そのうちの何割かは治癒することができるようになりました。前とは違う診断名が付けられた病気もあります。

しかし、様々な検査が可能になったことは喜ばしいことですが、技術習得が大変な検査、麻酔が必要な検査、費用が高額な検査などが多くなり、獣医師、動物、飼い主さんの負担は増加しております。

もちろん、病気が1つではない場合(とはいえ、リンクしている場合は多いですが)は検査の解釈も複雑になります。

経過観察を行ったり、薬を投与して反応を診て診断が付く場合もあります。開腹手術をしてやっと診断が付く場合もあります。

実際の診療の場面では、確定診断が付かないままという場合の方が多くあります。症状にあわせた対症療法で良くなり(薬はあくまでも手助けで、自己治癒能力によって良くなっているのですが)診断名は獣医師にもはっきりわからないことはたくさんあります。ちなみに、胃腸炎とか皮膚炎とか風邪などは本当の意味での診断名とは言えません。

診断名というのは人間が決めたものです。獣医科大学は人間が決めた病気の名前を付けられるようになるという勉強を6年間します。医学部でもそうだと思います。2011年現在、人類は生命や病気を何パーセントぐらい理解しているのでしょうか?

正しい診断を付ける。基本的なことですが難しいことです。