環境エンリッチメントという言葉が、最近、動物園や水族館の飼育動物の世界でよく聞かれます。『動物福祉の立場から、飼育動物の幸福な暮らしを実現するための具体的な方策』という意味です。飼育場所を広くしたり、本来の生息地の環境に近づけたり、給餌回数を増やしたり、自由に遊べる時間を増やしたり・・・動物園や水族館の職員の方々は限られた場所、費用、時間の中でいろいろなアイディアを出されています。映画にもなった、旭川の旭山動物園は有名ですし、海外にはびっくりする様な規模の動物園がたくさんありますが、身近な動物園や水族館でも多くの工夫がされています。お時間がある時、野毛山動物園の高齢ラクダのツガルさんに会いに行ってみて下さい。その一端に触れられます(同時に飼育係の方々の大変さも伝わってきます)。
エンリッチメントを一般家庭で飼育されているペットたちに当てはめて考えてみて下さい。温度、湿度、食事の質、量、お散歩や遊びなどの運動。動物とストレスの研究は、まだまだ十分とはいえませんが、手の平をペロペロ舐め続けているワンちゃん、いつもお腹を舐めている猫ちゃん、お水を過剰に飲むウサギちゃん、肥満のハムスターちゃんの中には、エンリッチメントを考えることで改善する子たちがたくさんいると思います。
とくに今年は、これからの暑い季節、東日本大震災、原発事故のため、エアコンを使用し辛い状況です。可能ならば、毛を短くカットする。アイスノンのようなものを上手く使う。日陰を多く作るなどの工夫が必要です。ただ、心臓が悪い子、短頭種の子たち、暑さに極端に弱いチンチラなどにはエアコンは必要です。他のことで節電を頑張っていただいて、最低限の環境は作ってあげて下さい。熱中症に注意です。