失神(意識喪失)
血液の循環不全により、一時的に脳血流量が減ると失神します。よく、てんかんと間違われます。てんかんはいきなりバタッと倒れます。心臓からの場合はフラフラッと倒れます。慢性の僧帽弁閉鎖不全症の小型犬に多いですが、各種の先天性の心奇形、様々な不整脈でも起こります。
失神のきっかけは、咳や興奮です。咳こむことや過度の興奮により交感神経が興奮し、それを抑えようと副交感神経が強く作用します。すると、心拍数が落ちて脳の血流量が減り失神します(神経調節製の失神)。
その他
麻痺:猫の心筋症(心筋の肥大・変性などによって引き起こされます。肥大型、拡張型、梗塞型などがあります)において、血栓により後肢が麻痺することがあります。この場合は24時間以内の治療が必要です。
体重減少:慢性の僧帽弁閉鎖不全症や拡張型の心筋症の場合によく見られます。とくに側頭筋(こめかみの筋肉)や腰背部の筋肉が顕著に減少します。
腹囲膨満:心臓の右側(右心系)、右心房、右心室といった場所のトラブルにより、肝臓の中の門脈の血圧が上昇し、腹水が溜まります。体重増加と間違えられている場合があります。
抹消の浮腫:各細胞の間にある液体(間質液)と血液中の細胞以外の液体成分(血漿)を細胞外液と呼びます。心不全が進むと、細胞外液にも還流障害が起こり、細胞外液はうっ滞し、抹消の浮腫をおこします。
粘膜の色:舌、歯肉、口腔、結膜、爪、パット、包皮、膣の粘膜や皮膚の薄い部分で毛細血管の豊富な部位が、動脈内の酸素が足りなくなると青黒く見えます。これをチアノーゼと言います。チアノーゼは大きくわけて、中心性のもの(肺でのGas交換が上手く行ってない、動静脈に短絡がある)、末梢性のもの(ショック、うっ血性心不全、血栓、寒さ)があります。
視力異常
高血圧が長期間持続すると眼底出血や網膜剥離が起こり、視力障害が起こります。猫で非常に多いです。
心疾患は様々なトラブルを起こします。上記の様な症状が認められたら、すぐに検査を受けて下さい。また、健康そうに見えていても、小型犬や猫では10歳を超えたら、中型犬、大型犬では8歳を超えたら、半年~1年に1度のチェックをお勧めします。