猫の甲状腺の病気の多くは機能亢進症です。
原因は甲状腺の腺腫、腺腫様過形成、甲状腺濾胞癌ですが、よくわかっていません。7歳以上でよくみられます。海外では両側性、国内では片側性がよくみられます。90%の症例で頚部腹側に腫大した甲状腺が触知されます。犬では稀ですが、犬の場合の多くは悪性の甲状腺腫瘍が原因です。
よくみられる症状は
・全身症状:体重減少(90%)、多食(50%)、活動性の亢進、落ち着きがなくなる。
・腎障害:腎血流量増加、または腎不全の併発で多飲多尿となる。
・循環器症状:心雑音(50%)、頻脈、不整脈、高血圧。
・消化器症状:多食による嘔吐(40%)・下痢(20%)。
・呼吸器症状:パンティング、呼吸困難
・神経症状:筋力の低下、チアミン(VB1)欠乏による頚部の腹側への屈曲(おがみ)、中枢神経症状(高血圧から)。
・眼科疾患:高血圧による眼底出血、網膜剥離。
・一般血液検査:Ht・MCVの軽度な上昇、白血球のストレスパターン(好中球の増加、好酸球・リンパ球の減少)、低K血症、ALT・AST・ALPの上昇、軽度の高血糖(20%)、BUN・Creの上昇(腎不全のため)
・尿検査:低比重尿。
上記の症状が代表的です。簡単に言えば、ハイパー、過活動の状態です。
確定診断には血液で、血清総サイロキシン(T4 90%で上昇)、血清遊離サイロキシン(fT4 98%で高値)を測定します。
治療は手術で甲状腺を摘出することが推奨されています。とくに国内では片側性の症例が多いので、片側の甲状腺の摘出をします。内科的な治療を行う場合はメチマゾールという薬が第一選択です。その他はイオパノ酸の投与や放射性ヨウ素も使用される場合がありますが高価です。