痙攣のことをもう少し深く考えてみましょう。痙攣の定義は『大脳皮質内における神経細胞の異常かつ集合的な活動』とされています。神経伝達の興奮が抑制を上回った状態です。全ての大脳疾患で痙攣が起こる可能性があります。脳波に異常をきたすことが多いですが、動物での脳波の測定は困難です。また、MRIも多くの情報を与えてくれる検査法ですが、全身麻酔と費用の問題があります。やはり、大事なのは臨床症状です。
原因としては、
・反応性(頭蓋腔外に原因):毒物、代謝性疾患
・器質性(頭蓋腔内の疾患):脳腫瘍、脳炎、外傷、脳梗塞など
・原因不明:特発性(遺伝など)
があります。
症状は全身性のものと局所性のものに大別されます。全身性痙攣は大脳皮質全体におよび、間代性強直性発作が起こります。
間代性強直性痙攣:
前兆;不安感などから異常行動がみられることがあります。
痙攣発作;意識消失、四肢頭頸部の硬直、自律神経症状(頻脈、血圧上昇、瞳孔散大、失禁、失便、流涎など)、通常2分以内。
発作後異常;意識レベルの異常(数時間~数日)、盲目、ふらつき、落ち着きがない、過剰な食欲、攻撃的になる。
局所性発作:顔面、前肢などの片側から始まり、全身性に移行する。猫で多い。
診断は大脳以外の原因を除外することから始めます。症状、ヒストリー(痙攣時の動画があるとベストです)、身体検査、血液検査、各種画像診断、神経学的検査などで、同じ様な症状を示す、低血糖(インスリノーマなど)、低Ca血症、毒物接種などを否定します。
治療は原因により様々ですが、約2000年も前からある症状に対して、いまだに理想薬は存在しません。当然ながら、その動物にカスタマイズした治療が必要です。