小腸性下痢とは、小腸(十二指腸、空腸、回腸をまとめて小腸と呼びます)が原因場所になっている下痢の総称です。通常は排便の回数は正常ですが、1回の排便量が多くなり、軟便~水様便となるのが特徴です。
小腸性下痢の場合、大腸で水分は吸収されますが、小腸で栄養分が吸収されていないため便の量が増えます。慢性化すると体重の減少がみられたり、出血があると黒色便(メレナ)となります。初期の頃はしぶりはあまりみられません。
小腸性下痢の原因は、大腸性下痢より複雑である場合が多く、主な疾患には以下の様なものがあります。
・低ALB血症
・リンパ球形質細胞性腸炎(慢性腸症)
・好酸球性腸炎
・炎症性腸疾患(IBD)
・リンパ腫
・消化管腫瘍
・食事反応性腸炎
・抗生物質反応性腸炎
・感染性腸炎(ウイルス、細菌、原虫、寄生虫など)
・膵炎
・膵外分泌不全
・異物
診断は、症状、糞便検査、血液検査、レントゲン検査や超音波検査に加え、原因が分からず一般的な治療で改善しない場合は、便のPCR検査や消化管内視鏡検査が必要な場合があります。とくに嘔吐や食欲減退などの他の症状を伴っている場合、1週間以上下痢が続いている場合などには、小腸性、大腸性に限らず、きちんと診断を付け、原因に沿った治療を早期に行うことが望まれます。