梅雨時期や台風が近付き気圧が下がると体調が悪くなることがあります。これを一般的には気象病と呼んでいます。気象病は、気圧の変動や湿度の上昇などの気象条件が人体に与える影響によって引き起こされる症状の総称です。ヒトの気象病の主な症状は、頭痛、めまい、倦怠感、眠気、食欲不振、イライラなどです。これらは、気圧の変化によって体内の血液や組織の圧力が変化し、血管や神経に影響が及ぶことにより生じます。獣医療では気象病という言葉は一般的ではありません。しかし気候の変化によって体調が悪くなる動物は多くみられます。
気圧が急激に下がると、てんかん発作などを持っている場合やセンシティブ動物の場合は、ウロウロと落ち着かなくなり、熟睡できなかったり、わかりにくいのですが頭痛を起こしている可能性もあります。気圧の変動は、胃腸の問題を引き起こすこともあります。検査では問題ないのに腸の運動が低下し、消化不良や腹痛、食欲不振を引き起こすことがあります。また、無駄吠えをしたり、攻撃的になったり、猫ではトイレに行かなくなってしまう場合があります。
多くの動物は雷や雨の前に変化を察知します。まだ晴れているうちからわかっている場合もあります。気圧の変動や静電気の増加などの前兆により不安や恐怖心を感じます。震えて部屋の隅に隠れたり、走り回ったり、家具をかじったりすることがあります。少し前の犬の研究では、激しい雷が起こると、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの血中濃度は40分にわたって270%も上昇するという結果でした。
梅雨時期や台風時は、動物に安心感を与えることが重要です。気象病に対処するために、以下の方法が役立ちます。
安全な場所の提供:落ちつける場所を提供しましょう。狭いスペースやベッドの下など、自分が守られていると感じる場所を見つけてあげることが大切です。パニックになっても怪我をしない様にしましょう。クレートや可能なら防音の処置ができると良いです。
そばにいる:多くの動物は飼主さんの存在で安心感を得ます。気象病の症状が現れる際にはそばにいて落ち着かせることも重要です。
リラクゼーション:動物がリラックスできるように、撫でられたりマッサージが好きな場合は行ってあげて下さい。普段からTVや音楽が好きな場合はかけてあげるのも良いです。
あまりに怖がっている場合は無理をせず、怪我をしない場所でしばらく1人にします。このような事をしても激しいパニックになる場合は薬の使用もありだと思います。今はかなり安全な抗不安薬があります。
気象病は、敏感な動物に影響を与えることがありますが、適切なケアとサポートによって症状を軽減できます。気圧の変化が激しいときに食欲が落ちる、動きが鈍いなどがあれば気象病かもしれません。そのような適切な対処の仕方を知っていることが大切です。
子犬と雨の日の子どもたち いわさきちひろ 作