クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)とは爬虫類、鳥類、魚類、両生類、哺乳類などの多くの動物種およびヒトにも感染する原虫(寄生虫の一種)です。オーシスト(成長段階のサナギの様なもの)は水中では数ヵ月感染能力を持ち、オーシストを含んだ水、感染した生体の吐物や便を口にしてうつります。薬剤耐性が強く、通常の塩素の消毒でも死滅せず、ヒトでも汚染された水から感染するため、衛生管理が整っていない場所で蔓延しています。近年、ヒョウモントカゲモドキで大きな問題となっています。
クリプトスポリジウムにも複数の種類がありますが、爬虫類では主に下記の2種が問題となり、複数の種類のクリプトスポリジウムが寄生することもあります。
C.serpentis:ヘビ・トカゲに寄生
C.varanii(saurophilum):トカゲに寄生、まれにヘビ
爬虫類では胃や小腸の粘膜にクリプトスポリジウムが寄生し、慢性的な胃炎や腸炎により下痢を引き起こし痩せていきます。通常、免疫力のある場合は無症状で、他の病気に感染したりストレスを受けると発病する可能性が高くなります。年齢や性差における感染率は知られていません。
クリプトスポリジウムの診断は糞便検査でオーシストを確認して診断できますが、検査を行っても 1 度では発見できないこともあり、数回の検査でも見つからないこともあります。確実な診断は吐物や糞を用いた遺伝子(PCR)検査になります。
有効な治療薬は無いので完治することは難しく、爬虫類の感染では完治することはないといわれています。しかし、パロモマイシンという薬がある程度は効果的で症状が改善したヒョウモントカゲもいます。
ヒョウモントカゲモドキは注意です