No.385 スコティッシュフォールドの疾患

垂れた小さな耳、丸い顔でドラえもんのような風貌で、性格もおとなしく飼いやすいことで大人気のスコティッシュフォールド。日本では2021年まで13年連続の人気1位の猫腫です。そんな人気の一方で、「病気にかかりやすい」「寿命が短い」といった指摘もあります。海外(イギリス、フランス、ベルギーなど)ではスコティッシュフォールドの登録を認めない血統登録団体や繁殖を推奨していない団体があります。

スコティッシュフォールドの一番の問題は骨軟骨異形成症です。特徴である垂れ耳は、耳の軟骨が突然変異によって硬くなったものですが、骨軟骨異形成症では、耳だけではなく、本来クッションとして関節を保護する軟骨までが骨のように硬くなってしまいます。すると、四肢の関節、とくに足首が動かなくなったり、痛みが生じて、ジャンプや歩くのをためらう様子が見られ、痛みの程度によっては歩行すら困難になります。骨軟骨異形成症は、垂れ耳のスコティッシュフォールドは必ずかかるという報告がされていて、とくに垂れ耳同士で交配してできた子に症状が強く現れる傾向があります。

他にも、スコティッシュフォールド特有ではありませんが、遺伝的に肥大型心筋症など内臓の病気にかかりやすい傾向も指摘されています。また、交配相手に選ばれてきたエキゾチックショートヘアやペルシャに多いとされる嚢胞腎(のうほうじん)も、スコティッシュフォールドに多いといわれています。

骨軟骨異形成症も肥大型心筋症も嚢胞腎も、現時点では発症を防ぐことは残念ながらできません。また、特効薬もありません。飼主さんができるのは、定期的な健康診断(5歳くらいまでは年に1-2回、それ以上は年に3-4回)を行い、レントゲン検査や血液検査、超音波検査などで病気を早期発見し、必要なケアを早い段階からしてあげることです。スコティッシュフォールドは関節、心臓、腎臓に特に注意です。


スコティッシュフォールドの足首の骨瘤