No.377 認知症(Cognitive Dysfunction Syndrome;CDS)の見つけ方

認知症(CDS)は老化が悪化因子ではありますが病気です。以前は「痴呆症」ともいわれていました。老化に関連した症候群であり、認知力の異常、刺激への反応低下、学習・記憶の欠損にいたる疾患です。進行がゆっくりなため気付きにくいです。体の酸化ストレスによって産生されるフリーラジカルによって、タンパク質、脂質、核酸にダメージを受けます。通常は生体内の抗酸化成分がフリーラジカルからのダメージを防御していますが、加齢によりこの機構が低下して起こります。とくに脳はフリーラジカルの影響を受けやすいです。


・11-12歳の犬の約28%
・15-16歳の犬の約68%

・11-14歳の猫の約30%
・15歳以上の猫の約50%
にCDSの症状が出ているという報告があります。また、日本犬に多い印象でしたが、犬種・猫腫より、雌、不妊手術を受けた動物、小型犬がリスクが高いといわれています。

CDSの臨床徴候としてDISHAAの徴候があります。
・見当識障害 (Disorientation)
・相互反応変化 (Interaction Changes)
・睡眠あるいは行動の変化 (Sleep or Activity Changes)
・トイレトレーニングを忘れる (Housetraining is Forgotten)
・活動の変化 (Activity changes)
・不安 (Anxiety)

DISHAAの徴候を具体的に説明すると以下のようになります。() 内の%はどれくらいのCDSの犬猫でみられるかを表しています。
1.排泄の失敗(25%)
2.よく吠える(鳴く)ようになる(23%)
3.ヒト(家族)とのコミュニケーションの変化(20%)
4.命令にしたがわない(20%)
5.家の中や庭で迷う(14%)
6.睡眠周期の変化(8%)
7.部屋の隅で動けなくなる(8%)

上記のような症状がみられたら認知症を疑います。他の脳神経病、内分泌疾患、問題行動などと鑑別診断して、CDSと診断が出たら早期に治療を開始しましょう。

治療には、行動療法、食事療法、サプリメント、薬物療法、代替医療などがあります。どの程度の治療が必要かはケースバイケースですが、早期に介入しないと期待したような治療効果が出ません。

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No147認知症(CDS)4
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