No.373 舌の浮腫み(むくみ)

今の時期、暑さだけでなく、湿気や水分の取り過ぎや冷房などの影響で、体内に水分が溜まり体が浮腫み、食欲が低下している場合が多くみられます。島国である日本は四方八方を海に囲まれているため、全方位から湿気が入り込みやすく、私たちは湿気にさらされやすい環境で生活しています。日本に住んでいる時点で湿気やすい下地ができています。

中医学では、過剰な湿気は胃腸を弱らせると考えられています。漢方では「胃腸(脾)は乾燥を好み、湿気を嫌う」と言われていて、湿気の多い梅雨や夏に、食欲不振や消化不良が多く、乾燥する秋には「食欲の秋」と銘打つほどに食欲が増し消化が良くなります。

湿気によって食欲が落ちている動物の舌をみると、舌苔が増えていたり、下の周辺がギザギザしていたり、浮腫んでいることがあります。このような舌の変化は体内の水分過剰のサインである場合が多く、胃液などの消化液が薄まっている状態と考えられます。消化液が薄まれば胃腸の働きが低下し体力も落ちて夏バテしやすくなります。また、唾液も薄まるために雑菌に対する抵抗力が弱くなり、口腔内や消化管の粘膜を保護する働きが低下するので、食中毒、歯周病などにかかりやすくなってしまいます。さらに、体内のバランスの調整力を失っているときは、熱中症にもなりやすくなります。

舌の変化は毎日見てあげることによって気付きやすくなります。食欲が低下して、舌がいつもと違うように見えたら、もう一度、温度や湿度などの生活環境を見直して消化の良いものを与えてみて下さい。それでも食欲が戻らなければ早目の受診がおすすめです。


舌の浮腫みに注意して下さい