口蓋裂(こうがいれつ)とは、上顎に亀裂があり、口腔と鼻腔がつながってしまってる状態です。 鼻水、くしゃみ、咳、口臭、食欲不振などの症状が見られます。 子犬・子猫の場合は、ミルクなどがうまく飲み込めずに肺に入ってしまい、呼吸困難や誤嚥性肺炎などを引き起こすことがあります。長く放っておくと副鼻腔炎(→No312副鼻腔炎)を発症する場合もあります。
口蓋裂の原因は先天的な形態異常のことが多いです。 先天的な発症の原因としては、胎児のころに母犬や母猫への薬物投与が行われたことやウイルス感染したことなどが挙げられますが、 遺伝性の要因が多いと考えられています。口蓋裂がある場合は、他の先天性の異常がある場合も多いので注意が必要です。後天的な発症の原因としては、交通事故や落下事故、感電などが挙げられます。
治療は、外科手術によって裂けている口蓋をふさぎます。離開している場所や大きさ、年齢などにもよりますが、口蓋裂の手術は難しく、中途半端に行うと再発します。通常は、硬口蓋でフラップを作り口蓋裂を閉じます。それでもダメな場合は、抜歯をして唇の粘膜の移植をします。術後すぐは痛みも強く、すぐに食事はできないので、食道瘻チューブや胃瘻チューブ(→No325胃瘻チューブ)から与えます。入院も7-10日間程度は必要です。複数回の手術が必要になることもあります 。飲水や食事のたびに苦しいので、早目に手術をしてあげたい疾患です。誤嚥性肺炎や副鼻腔炎を予防するためにも早期治療が必要です。
猫の口蓋裂
左唇の粘膜の移植手術後