犬の寿命のリスク因子については様々な研究がされていますが、Silvan R.Urfer氏らは、アメリカで約237万頭の犬の調査を行い、その結果、年に1度程度の歯石の除去(スケーリング)を行っている犬は、死亡リスクが約20%低下していることがわかりました。
歯垢が歯に付着するのは24時間以内であり、この歯垢を除去しないと唾液中のミネラルと反応して歯石ができ始めてしまいます。この期間は3日くらいといわれています。さらに2週間で歯肉炎が引き起こされます。そのまま放置すると、いずれ顎の骨が溶けてくる歯周炎へ進行します。歯周病を放置すると、口腔内の問題だけではなく、眼窩下膿瘍や口腔鼻腔瘻という外科的な介入が必要な状況、また、心臓、肺、肝臓、腎臓など様々な臓器の病気として関連することがわかっています。
きちんとしたスケーリングは、歯の裏側や歯周ポケットの歯石を除去することが必要です。それには全身麻酔が必要ですが、症状が軽いうちに行うほうがリスクも当然下がります。
歯石のつき方は、遺伝的な側面が多いですが、普段のケアとしては、デンタルブラシで歯磨きをしてあげる事が最も推奨されています。最初は嫌がる場合も多いので、おやつなどを利用し、少しずつ時間をかけながら習慣づけてあげて下さい。ガムやジェルなどの効果は限定的です。
こちらもご参照下さい
No18 歯石
No97 歯周病1
No98 歯周病2
No108 高齢動物の歯の疾患
No134 プラークコントロール
No218 口腔鼻腔瘻