No.459 水晶体脱臼

水晶体は眼球の中間部に位置しており、網膜にピントをあわせるために必要な重要な組織です。カメラの絞りに例えられる毛様体から連続するチン小帯という組織が360°付着しており、遠くを見たり近くを見る際にチン小帯を通じ、水晶体を伸ばしたり縮めたりすることで網膜に焦点を合わせています。ヒトでは様々な原因によってチン小帯の脆弱化が生じ、チン小帯が断裂することで水晶体の位置が本来の中心の位置からずれることがあります。水晶体の偏位が軽度である場合を水晶体亜脱臼といい、完全に偏位している場合を水晶体脱臼といいます。

動物においても、水晶体亜脱臼や水晶体脱臼が生じます。特にテリア種を中心とした犬種においてチン小帯の断裂が生じやすい遺伝的な素因があるとされ、原発水晶体脱臼(PLL)を生じることが報告されています(他の品種でも起こります)。またぶどう膜炎や緑内障、外傷といった様々な疾患に続発して水晶体脱臼が生じることもあります。

水晶体脱臼では、水晶体は本来の位置から様々な場所に偏位し、それぞれ症状が違います。硝子体側(眼の奥側)へ偏位する水晶体後方脱臼では、後部の眼内組織である網膜に障害を与え、網膜剥離を生じる危険性があります。また前房へ偏位する水晶体前方脱臼は、緑内障や角膜浮腫を引き起こすだけでなく、強い疼痛を生じるため、緊急的な治療(多くは外科手術)が必要です。


犬の水晶体前方脱臼


No.458 フェレットの脱肛

肛門から赤色をした粘膜や直腸下端の一部が脱出すること脱肛と言います。正常な動物でも排便時に腹圧がかかることにより、一時的な肛門の脱出がしばしば見られます。通常は排便後に自然に戻ります。 肛門の脱出が習慣となり、元に戻らない状態になったものが、疾患としての脱肛と定義されます。

フェレットの多くの個体は幼体期に肛門脇にある2つの臭腺を除去する手術を受けています。この臭腺を取り除いたがために、肛門括約筋に余裕が生じ排便時に脱肛しやすくなると考えられています。軽い脱肛であるならば自然と治まることもありますし、軽度だと軟膏などを塗って粘膜の炎症を抑えるようにすると治ることもあります。しかし、繰り返す場合は外科手術が適応となります。また、逸脱した粘膜にブドウ糖シロップなどを塗り、浸透圧差で腫張した粘膜が萎む作用を利用して指や綿棒で押し込む方法が良いなどと書かれているサイトがありますが、とても痛い処置です。そもそも良くはならないので絶対にやらないでください。

外科手術は、粘膜を中に入れて肛門周囲を巾着縫合します。多くは1~3週間後に抜糸すると完治します。巾着抱合で上手くいかない重度の場合は、開腹して大腸を腹壁に縫う手術を行います。


脱肛は痛いです


No.457 短頭種気道症候群(Brachycephalic Airway Syndrome:BAS)

フレンチブルドッグ、イングリッシュブルドッグ、パグ、ペキニーズ、ボクサー、ボストンテリア、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、狆などの犬種を短頭種と呼び、その多くは、口吻部(マズル)、鼻孔、鼻腔、喉頭などの上気道の形態が原因で、閉塞性の呼吸を示す傾向があり、この一連の呼吸器疾患の病態を、短頭種気道症候群(Brachycephalic Airway Syndrome:BAS)と呼びます。ペルシャ、ヒマラヤン、マンチカン、ブリティッシュショートヘア、スコティシュフォールドなどの猫の短頭種にも似た病態が起こります。

原因は先天的に、軟口蓋過長、外鼻孔狭窄などの呼吸の妨げとなる形態異常を持ち、これにより慢性的に声門に過剰な吸気時陰圧がかかることで、喉頭小嚢反転などの二次的な形態異常が起こります。さらに重症化すると最終的には喉頭虚脱気管虚脱などを引き起こします。BASは慢性的に進行する疾患です。

BAS犬の多くは生後間もない時期から、スターター(興奮したときや運動時にズーズーといった鼻が詰まったような呼吸音)や、ストライダー(ガーガー、ブーブーといった喉に引っかかったような呼吸音)が生じます。子犬時に仰向け姿勢を好む傾向も初期兆候です。症状が悪化することで、鼾の悪化、無呼吸症候群と発展し、努力性呼吸(胸を激しく動かすような呼吸)、運動不耐性(少し動くだけで息が上がって、動けなくなる)の発現、最終的にはチアノーゼや呼吸困難になってしまい命にかかわってきます。また、呼吸器徴候の重症化に伴い、消化器徴候の発生および重症化も示唆されています。これらの症状は成長と共に悪化します。肥満も悪化因子です。猫の場合は、長期間の努力呼吸によって肋骨の骨折が認められることあり、抱っこを嫌がるといった症状が出ることがあります。

動物が苦しそうに呼吸し、それが時間の経過とともに悪化する様子があれば早期に積極的な外科治療が必要です。症状の軽いうち(4~24ヵ月)に予防的な手術をすることが推奨されますが、多くの場合症状が深刻化してから来院される傾向があります。術前に上気道の異常を詳細に評価し、過長軟口蓋切除、鼻孔狭窄の矯正、喉頭小嚢切除などの術式を選択します。上気道閉塞が深刻化した患者は麻酔に関連した気道閉塞や窒息、麻酔後の合併症による死亡事故率が高いことが知られています。BASが深刻化する前に麻酔、手術をすることが推奨されます。


軟口蓋過長

外鼻腔狭窄

以下もご参照ください
No.392 鼻腔狭窄
No.101 気管虚脱と軟口蓋過長症2 (Tracheal collapse、Elongated soft palate)
No.100 気管虚脱と軟口蓋過長症1 (Tracheal collapse、Elongated soft palate)


No.456 毛包嚢胞

毛包嚢胞は、通常直径0.5-2.0cm程の犬の皮膚に比較的よく見られる腫瘤の1つです。他の動物種でもみられます。発生年齢は中高齢で多い印象がありますが、きちんとした疫学はありません。触診所見は比較的硬いことが多く、見た目は通常皮膚から隆起しています。体表のしこりに飼主さんが気付かれる場合や、トリミングなどで見つかる場合、健康診断などで偶然に発見される場合が多いです。

診断はFNA(針生検)で行います。角化物が採取されて、炎症や悪性腫瘍を示す細胞がないといったものになります。実際には他の毛基質由来の腫瘍(皮内角化上皮腫など)の可能性もあります。いずれにしてもその多くは良性病変です。確定診断は外科手術で切除した腫瘤を病理検査で確定する組織生検が必要です。

治療は、薬で消える様なものではないので外科手術になりますが、悪性のものではないので、通常は月1回毎くらいの経過観察で十分です。しかし、急に大きく成長したり、自潰したり、動物が気にする様ならば外科的切除をお勧めしています。良性病変ですから腫瘤の周りを大きく採る必要はありません。できた場所にもよりますが、多くは局所麻酔での処置が可能です。個体差がありますが、多発する場合もあります。また、稀ですが自分の免疫力で消えてしまう場合もあります。


犬の皮膚にできた毛包嚢胞

こちらもご参照ください
No.382 皮膚のしこり(結節)2
No.381 皮膚のしこり(結節)1
No.296 生検
No.215 犬の皮膚腫瘤


No.455 マイボーム腺

マイボーム腺とは、まぶたに存在する涙の油分を分泌する器官です。涙が蒸発するのを防ぐ重要な働きをしています。このマイボーム腺が腫瘍化したものをマイボーム腺腫といいます。中高齢の犬でしばしば見られる腫瘍でほとんどが良性です。しかし、大きくなってくると角膜に刺激を与え痛みや炎症の原因となります。皮脂腺腫が多いです。

マイボーム腺腫の治療は、一般的に全身麻酔下で腫瘍を切除して治療します。腫瘍が発生した瞼を一部切除した後、瞼を細めの糸で縫合します。この時、眼球に縫合糸が当たってしまうと眼に傷がついてしまうので縫い方に少し工夫が必要です。眼瞼の1/4-1/3くらいまでの大きさなら手術は大変ではありませんが、それ以上になると、他の部位の皮膚で眼瞼を形成する必要があり手術が頻雑になります。とくに腫瘍が角膜表面に当たってしまっている場合は早目の治療が必要です。小さい内はレーザーメスで簡単に終わる場合もあります。手術後は自分で擦ったり掻いてしまわないように、縫った傷が治るまではエリザベスカラーの装着が必要です。

また、マイボーム腺に細菌が感染して炎症を起こしたものを麦粒腫(ものもらい)、マイボーム腺が詰まって炎症を起こしたものを霰粒腫といいます。麦粒腫の治療は抗生剤の点眼、霰粒腫はマイボーム腺を絞り出したり、状況によっては外科的切開を行います。


霰粒腫

こちらもご参照ください
No.330 眼瞼腫瘍


No.454 軟部組織肉腫 (Soft Tissue Sarcoma ; STS)

軟部組織肉腫(STS)は動物の悪性腫瘍の1つのグループで、線維肉腫、血管周皮腫、神経鞘腫、脂肪肉腫などいくつかの腫瘍が含まれます。これらの腫瘍は共通した特徴を持っているので、軟部組織肉腫(STS)というくくりで診断され治療が行われます。

STSは高齢の犬に多く、主に胴体や足などの体の表面に発生し、いわゆる「しこり」として気付くことが多いのですが、体内にできることもあります。通常STSは痛みを伴いませんが、発生部位や大きさによっては周囲の臓器などに影響を与え、様々な症状が出ることがあります。

STSは根が深く(局所浸潤性が強いといいます)、再発率が高いです。この腫瘍からは目に見えない根が周囲に伸びています。見えて触れるしこりだけを手術で取っても根が残ってしまい再発します。また、腫瘤が大きい方、固くくっついているものの方が、悪性度が高い傾向にあります。悪性度によって異なりますが、比較的転移が起こりにくいという特徴も持っています。つまりSTSは、根が深く広いためそれを手術で全部取るのは大変ですが、転移が比較的起こりにくいため十分な手術ができれば完治することもめずらしくない悪性腫瘍です。

診断の最初はFNA検査(針吸引検査)です。その結果、STSが疑われたら、レントゲン検査、超音波検査、場合によってはCT検査で転移の有無や手術計画を立てます。

治療で最も重要なものは外科手術です。最初の手術でいかに腫瘍を取りきるかが大切です。すでに転移を起こしている場合、手術が難しい場合、悪性度が高い場合などに放射線治療や抗癌剤治療なども行われますが効果は低いです。早期に発見・診断して、しっかりとした手術を行うことが推奨されます。


STSは根が深いです


No.453 猫の乳腺腫瘍

猫の乳腺部に発生する腫瘤性病変の80-90%が悪性腫瘍で、悪性腫瘍の98%が乳腺癌で占められています。犬と異なり、猫では良性の乳腺腫はほとんど存在せず、良性腫瘍は過形成や炎症性病変です。2005年1月~2014年12月の1965例の疫学データによると、日本における猫の乳腺癌の発生年齢の中央値は12歳齢(2~22歳齢)で、99%は雌猫で発生し、大部分が雑種猫であり好発品種は認められていません。

また、犬と同様、猫でもホルモンと乳腺腫瘍発生の関係性が強く示唆されていて、以下の様な、不妊手術実施時期と乳腺癌発生の関係が認められています。
・6ヶ月齢以前に不妊手術が行われた場合→乳腺腫瘍発生率91%低下
・7-12ヶ月→86%低下
・13-24ヶ月→11%低下
・24ヶ月以降→不妊手術の効果なし
このデータから、子供を得ないのであれば、遅くとも1歳齢までに不妊手術を行うことが推奨されます。

猫の乳腺腫瘍の外貌は発見される時期によって様々です。とくに長毛腫では小さな腫瘤は被毛で覆われてしまうため発見しにくいことがあります。また、33~60%は多発する傾向があるため腫瘤を1カ所認めたら、全乳腺を1つずつ丁寧に、鼠径および腋窩リンパ節腫脹の有無とともに観察、触診する必要があります。また、原発巣が直径2cm以上のものはステージ2以上なので、原発巣が<2cm以下のうちの外科手術が推奨されます。

術前仮診断は原則的にFNA(針吸引生検)を行いますが、確定診断・グレード分類(顕微鏡で見た時の分類・未来の病気の程度)には、術後の病理組織検査が必要です。また、術前検査、転移の有無の検査ため、血液検査、レントゲン検査、超音波検査などが必要です。猫の乳腺癌の転移で1番起こりやすいのは肺転移です。猫の場合は、犬の乳腺癌の肺転移のような明確な結節性病変をつくらず、微小結節として認められる場合が多いです。多くの症例で、肺の転移性病変が大型化する前に胸水が貯留しはじめ、呼吸困難を引き起こします。このような状態になると1月以内に死亡します。

また、猫の乳腺癌のリンパ節転移は、明確なリンパ節腫脹をともなわないことも多いです。とくに初期リンパ節転移率は20~42%と高く、リンパ節転移を引き起こしている可能性を十分に考慮して治療を進めます。ステージ分類(病気の進行具合・現在の病気の程度)は以下の様になっています。TNM分類といいます。

特殊な炎症性乳癌以外では、治療の第1選択は外科手術です。手術法は、古くから片側乳腺切除術、腫瘍が両側にある場合は可能ならば乳腺両側切除術が推奨されています。ヒトでは術後の合併症のために、腋窩リンパ節に転移が見られない場合は手術時にリンパ節は温存されることがありますが、猫の場合リンパ節が小さく、摘出しないと検査が困難なことや転移率が高いことなどから、現在では、乳腺摘出時に、鼠径リンパ節、腋窩リンパ節、副腋窩リンパ節を郭清(切除すること)する事が推奨されています。

乳腺癌が早期に発見され、積極的な外科的治療がなされた場合は、外科治療単独でも長期生存する可能性が高いですが、ステージ2以上、グレード2以上、リンパ管あるいは血管内浸潤、リンパ節転移を伴っている場合は化学療法(抗癌剤)も考慮します。飼主さんが化学療法に抵抗がある場合は代替医療でも効果がある場合があります。

クリックすると手術時の写真が出ます。苦手な方は見ないで下さい。
猫の腋窩・副腋窩リンパ節

こちらもご参照ください
No.452 病気のステージとグレード
No.296 生検
No.292 TNM分類
No.125 去勢手術・不妊手術 (Castration・Spay)
No.69 乳腺腫瘍2(Mammary tumor)
No.68 乳腺腫瘍1(Mammary tumor)


No.452 病気のステージとグレード

病気の説明の時に、重さや段階を表す言葉として「ステージ」や「グレード」という話をすることがあります。以下に簡単にご説明します。

ステージ:その病気の現在の進行度、影響度を表します。

腫瘍の場合は、主にTNM分類というのが用いられます。

TMN分類
T:原発腫瘍の大きさ
N:所属リンパ節転移の有無、その個数
M:遠隔転移の有無
これらの組み合わせによりステージ(病期)を判定します。

例として
T:腫瘍のサイズは3cm→T1(腫瘍の種類によりサイズによる数字は異なります)
N:1つの所属リンパ節へ転移している→N1
M:遠隔転移なし→M0
だからT1N1M0

この様な感じで、実際に腫瘍がその体でどれくらい広がっているのかを見て数値に簡略化します。そしてこの簡略化されたデータをステージの分類表に当てはめることで、T1N1M0は、この腫瘍の場合ステージ◯ですというのが決まります。

腫瘍以外では、腎臓病だったり心臓病だったり、腫瘍じゃなくてもこのステージという言葉は使われます。この場合は腫瘍の時と違ってTMN分類ではなく、疾患にもよりますが、血液検査、レントゲン検査、症状などを考慮して作られた分類表がそれぞれ存在します。イメージとしては腫瘍のステージと同じで、その病気がどれほど体の中で進んでいるのかを表しています。

グレード:これから予想される病気の進行度、影響度を表します。

腫瘍のステージ分類の様に体全体を見るのではなく、グレードは顕微鏡で見たときの分類になります。生検(細胞診や組織生検など)をした際に調べることができます。腫瘍でいえば腫瘍細胞と正常な細胞がどれだけかけ離れているかを表したものです。なぜか、獣医界では、膝蓋骨脱臼に対してはグレ-ドという言葉が使われ続けていますが、これは特殊な例です。

簡単にいうと、
ステージはマクロ(肉眼)で判断する病気の分類、現在の病気の程度
グレードはミクロ(顕微鏡)で判断する病気の分類、未来の病気の程度の予想
です。

共通点は、どちらも、1、2、3・・・と数字で分類されますが、体の健康という面においては数字が小さい方が好ましく、大きい方が良くないと言えます。

前述した様に、ステージは現実に起こっている病気の進行度や影響度を表すのに対して、グレードはこれから予想される病気の進行度や影響度を表しています。このためグレードの数字が大きいと将来的にステージの数字も大きくなりやすいです。しかし、タイミングによってはグレードの割りにはステージの数字が小さいということも起こり得ます。逆にステージの数字が大きいのにグレードは小さいということはあまりありません。混乱しやすいですが理解しておくとご自分の動物が病気になった時に役立ちます。

こちらもご参照ください
No.300 慢性腎不全(CKD)のステージ分類
No.296 生検
No.292 TNM分類
No.194 犬の僧房弁閉鎖不全症(Mitral regurgitation:MR)
No.31 膝蓋骨脱臼


No.451 肉芽腫 (Granuloma)

肉芽腫とは、慢性的な炎症に基づいて生じる腫瘤です。種々の原因による慢性的な炎症によって、炎症細胞や線維芽細胞が集積し、毛細血管に富んだ線維からなる腫瘤が生じます。「腫」と付いているますが、腫瘍性病変ではなく、免疫学的炎症反応の一過程です。「にくがしゅ」と呼ばれますが、医学では習慣的に「にくげしゅ」と呼ぶことが多いです。肉芽腫はマクロファージ、リンパ球、好酸球、形質細胞などから構成されます。

肉芽腫には様々な種類がありますが、大きく分けて、免疫刺激の少ない異物により惹起される異物性肉芽腫と、免疫反応を引き起こす不溶性粒子により惹起される免疫性肉芽腫に分類されます。免疫性肉芽腫は慢性肉芽腫とも呼ばれます。

異物性肉芽腫で、異物が皮膚の浅いところにある場合は、潰瘍を生じながら肉芽腫が増大することがあり、肉眼的でも腫瘤を確認できる場合が多く早期に発見されます。皮膚の深いところもしくは皮下にある場合は、肉眼では確認できず、弾性硬の腫瘤を触知するのみの場合もあり、長時間放置されることが多く、注意を要します。治療は感染があれば抗生剤や炎症を鎮めるためにステロイド剤で効果がある場合もありますが、基本的には外科手術が適応です。

免疫性肉芽腫は、原発性免疫不全症(生まれながらに身体の抵抗力が弱い体質)の中で最も多い疾患です。身体に侵入してきた病原体に勝つためには活性酸素が必要ですが、肉芽腫症の好中球は活性酸素を作ることができず、病原体が殺菌されないため、身体の中で増え続けて感染症を起こします。さらに、免疫性肉芽腫症では身体のいたるところに肉芽腫ができやすく、周辺の正常な組織を圧迫して臓器を障害することがあります。また、免疫のバランスが悪く肉芽腫性腸炎を合併することがあります。治療は、原因疾患のコントロールに加えて、ステロイド剤などの免疫を抑える薬を使用します。多臓器を圧迫している場合は外科手術も考慮されます。

クリックすると手術時の写真が出ます。苦手な方は見ないで下さい。
膵臓の肉芽腫


No.450 キャットフレンドリークリニック CFC(Cat Friendly Clinic)

キャットフレンドリークリニック「CFC(Cat Friendly Clinic)」とは、猫にやさしい動物病院の”道しるべ”としてISFMによって確立された国際基準の規格で世界的に普及しています。

ISFMは「International Society of Feline Medicine(国際猫医学会)」の略称です。こちらは、猫の健康と医療に関する国際的な専門組織で、イギリスに本部があり、各国の獣医師や動物関連の専門家が参加しています。ISFMは猫の医療の向上と猫の福祉を推進するためのリーダー的な役割を果たしており、猫に関する最新の医学的知識やケアについての情報を世界に提供しています。

CFCに認定された動物病院は、猫の専門性の高い知識と質の高い猫医療を提供することを猫のご家族に約束し、猫にやさしい動物病院の”道しるべ”となります。CFC取得には、厳しい国際基準を満たす必要があります。

CFCには、Gold、Silver、Bronzeの3種類があり、当院は今回もGold認定を頂きました。