No.255 飼主様向けセミナー講師変更のお知らせ

講師の岩崎先生が、昨日、事故で骨折されたため、講師の変更をさせていただきます。

日時:10月18日(日)16:30-18:30 (開場16:00)
場所:横浜ベイシェラトン 4階 清流
テーマ:皮膚のアンチエイジング
講師:芋川玄爾(いもかわげんじ)先生 宇都宮大学教授

芋川先生は、皮膚の研究を長くされており、セラミドの保湿機能の発見者であり、アトピー性皮膚炎時のセラミド減少を引き起こす特異酵素スフィンゴエリンデシラーゼ酵素の発見者としても有名です。シミや紫外線の皮膚への影響においても多くの論文を書かれています。また、ニベア、ビオレU、キュレルなどの有名な商品の設計もされた先生です。今回、基本的には、ヒトの皮膚の話になりますが、動物にもとても参考になるセミナーです。

講演もとても人気のある先生です。楽しくわかりやすいお話をしていただけます。ご都合の付く方は、是非ご参加ください。

当日は、新型コロナウィルス対策のため、ホテルのスタッフと協力し、検温、消毒の感染対策をして開催します。当日、受付の検温で37.5℃以上の熱がある方は入場をお断りさせていただきます。また、ご参加の方は必ずマスクの着用をお願いします。ソーシャルディスタンスを取るため、今回は先着80名様のご参加とさせていただきます。参加資格は当院の診察券をお持ちの方で参加費は無料です。

参加ご希望の方は、受付で配布している書類に、必要事項をご記入の上お申込みください。このメルマガをご覧になっていただいている方に限り、お電話での申し込みも受け付けます。お電話で『423号のメルマガを見た』とお伝えください。締め切りは10月4日(日)ですが、80名となった時点で締め切りとさせていただきます。ご質問やご要望があれば、ご連絡下さい。また、新型コロナウィルスや社会の状況で、開催に変更がある場合は、このメルマガやホームページなどでご案内します。よろしくお願いします。


No.254 第19回飼主様向けセミナーの開催のお知らせ

新型コロナウィルスのため延期になっていた、ウェスト動物病院 第19回飼主様向けセミナーを開催します。

日時:10月18日(日)16:30-18:30 (開場16:00)
場所:横浜ベイシェラトン 4階 清流
テーマ:『動物の皮膚病(仮題)』
講師:岩崎利郎 先生

岩崎先生は、アジア獣医専門医の団体を発足させて、日本人で初めて、アジア獣医皮膚科専門医になられた、獣医師なら知らないものはいない伝説の先生です。
元東京農工大学共同獣医学科の教授で、現在は日本不妊症学会の理事をされています。
講演も人気があって、とても楽しくわかりやすいお話をしていただけます。ご都合の付く方は、是非ご参加ください。

当日は、新型コロナウィルス対策のため、ホテルのスタッフと協力し、検温、消毒の感染対策をして開催します。当日、受付の検温で37.5℃以上の熱がある方は入場をお断りさせていただきます。また、ご参加の方は必ずマスクの着用をお願いします。ソーシャルディスタンスを取るため、今回は先着80名様のご参加とさせていただきます。参加資格は当院の診察券をお持ちの方で参加費は無料です。

参加ご希望の方は、受付で配布している書類に、必要事項をご記入の上お申込みください。このメルマガをご覧になっていただいている方に限り、お電話での申し込みも受け付けます。お電話で『254号のメルマガを見た』とお伝えください。締め切りは10月4日(日)ですが、80名となった時点で締め切りとさせていただきます。ご質問やご要望があれば、ご連絡下さい。また、新型コロナウィルスや社会の状況で、開催に変更がある場合は、このメルマガやホームページなどでご案内します。よろしくお願いします。


No.253 ペットの新型コロナウイルス感染症のPCR検査について

8月3日にペット保険会社が実施している新型コロナウイルスに感染した飼主様からのペットホテルにおいて、2頭の犬がPCR検査陽性であったとのプレスリリースがありました。この件に対して、東京都獣医師会が飼主様向けの文章を発表しました。

1.PCR検査は、飼い主が新型コロナウイルス感染者であるかペットが新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した場合にのみ推奨されます
2.ペットから人への感染は報告されていません
3.飼育環境下でのペットからペットへの感染は報告されていません

ネットニュースなどでも報道されたので、不安を感じられている方もいらっしゃることと思います。この報道により、ペットへの感染を心配する飼主様から、「ペットのPCR検査はどこで受けられるの?」といった問い合わせがありますが

・ご自身や同居する家族が新型コロナウイルス感染症に感染していない
・新型コロナウイルス感染者とペットとの濃厚な接触がない
上記の場合、ペットのPCR検査は世界的に推奨されていません。

PCR検査は、検体を採取した時点で、採取した部分(喉の奥や鼻腔内等)にウイルスの遺伝子があったかどうかが分かる検査です。その後の日常生活の中でウイルスが付着する可能性はありますから、PCR検査での陰性結果を維持するためには、「検査後に一切外出しない」「人と会わない」といった極端な行動制限をしない限り、毎日検査をし続ける必要があることになります。これまでの各国からの報告によると、PCR検査の後、抗体検査でも陽性となり、感染が確認された犬や猫においても、10日から2週間が経過するとウイルスの量は大幅に減り検出不可能になります。そこで、感染者の飼育動物に対し、念のために2週間の検疫(感染対策を講じて接する)期間をおくように提案しされています。ペットを守るために大切なことは、飼主さんが感染しないことです。

原文はこちら


No.252 成長板の骨折 (Salter-harris)

成長期の骨には成長板があり、そこで骨が作られ長く硬く成長していきます。特に長幹骨という長い骨(腕や足の骨)では、成長板は重要な組織です。

しかし、成長板は普通の骨と比べると脆く、落下や激突などの外力の衝撃によって折れやすい部分です。成長板が折れたままになると、骨の成長が阻害され、骨が短くなったり、曲がったりします。

成長板の骨折にはソルターハリス分類という5つのタイプがあります。

青いラインが成長板です。
Type1:まっすぐに成長板が剥がれる
Type2:剥がれた成長板の上に骨片が付く
Type3:成長板の遠位の骨端が割れる
Type4:成長板を貫くように割れる
Type5:成長板が圧迫で機能しなくなる

どのタイプも、治療の基本は外科手術ですが、骨の成長に対する障害を最小限にするために正確な整復と強い固定が必要です。また、若い動物は骨の癒合も早いので、変な形にくっつかないように、早期の手術が必要です。

Type-4のレントゲン写真


No.251 セラミド

ヒトでも動物でも、健康な肌の角質の中では、何層もの細胞が重なっています。その角質の細胞と細胞の間のすき間を満たし、細胞どうしをつなぎとめているのがセラミドです。セラミドは水とも脂とも仲良くできます(ラメラ構造といいます)。セラミドは肌の奥から産生されます。肌は本来外部刺激から肌を守るバリア機能を持っています。セラミドは肌のバリア機能の主役です。十分な量のセラミドを持った皮膚は、バリア機能が高く、外部刺激によるダメージを受けにくくなっています。アトピー性皮膚炎ではスフィンゴミエリンデアシラーゼという酵素によってセラミドが減少しています。セラミドの保湿機能やスフィンゴミエリンデアシラーゼは宇都宮大学の芋川玄爾先生らによって発見されました。

アトピー性皮膚炎が見た目改善しても、その皮膚はセラミドが少なく乾燥していて、バリア機能が充分でなく健康ではありません。この状態をアトピックドライスキンといいます。皮膚の乾燥とバリア機能の低下、免疫機構の低下によって、アトピックドライスキンからまたアトピー性皮膚炎が発症します。アトピックドライスキンとアトピー性皮膚炎を繰り返す悪魔のサイクルになります。また、老化でもセラミドは減少します。

アトピー性皮膚炎が改善しても、きちんとしたスキンケアが必要です。スキンケアは
・皮膚に有害なものを除去する:適切なシャンプー・クレンジング
・皮膚に有益なものを添加する:保湿剤;化粧水、乳液、クリーム
です。適切なシャンプー剤は皮膚の状態によって異なります。また、動物へのセラミドの添加にはキュレルの入浴剤がオススメです。アトピー性皮膚炎のない動物でも保湿は有益です。動物の保湿にも便利なものが多く出ていますので、ご興味のある方はご相談下さい。

こちらもご参照下さい
No12 シャンプー
No23 アトピ-1
No24 アトピ-2
No25 アトピ-3
No43 犬のスキンケア1
No44犬のスキンケア2
No45犬のスキンケア3
No74 シャンプー後のトラブル
No195 シャンプーの方法


No.250 ロキベトマブ (サイトポイント 抗犬IL-31モノクローナル抗体)

前述したアポキルは飲み薬でしたが、ロキベトマブという新しい月に1度のアトピー性皮膚炎の注射薬サイトポイントも発売されています。アポキルはアトピー性皮膚炎・食餌アレルギー両方の痒みを和らげますが、サイトポイントはアトピー性皮膚炎の痒みにのみ効果があります。

痒みにおける主要なサイトカインは、IL(インターロイキン)4.5.10.13.31で、犬ではとくにIL-31が重要ですが(ヒトではIL-4と13が重要で、デュピクセントという薬が販売されています)、アポキル(オクラシチニブ)が、IL-31が知覚神経の受容体に結合したヤヌスキナーゼ(JAK)の反応を阻害するのに比べ、サイトポイント(ロキベトマブ)は受容体に結合する前にIL-31を中和して痒みをストップします。

サイトポイントは、月1回の注射投与で便利なのですが、アポキルよりも症例を選びます。外耳炎の管理ができていない場合、シャンプーなどが併用できない場合、皮膚の炎症が慢性状態の場合は、ステロイドやアポキルなどを使って管理してからの投与が必要です。また、暑い時期より寒い次期の方が効果的です。


こちらもご参照下さい
No23 アトピ-1
No24 アトピ-2
No25 アトピ-3
No249 オクラシチニブ


No.249 オクラシチニブ (アポキルJAK阻害剤)

4年前から日本でも販売されているオクラシチニブ(商品名アポキル)は、アトピー性皮膚炎、その他のアレルギー性皮膚炎(ノミアレルギー、食物アレルギー、疥癬など)の痒み止めとしてとても優秀です。

痒みは、皮膚で起きる炎症と神経系の相互作用によって引き起こされます。抗原が体内に侵入し、皮膚で何らかの炎症が発生すると、ランゲルハンス細胞(見張り役の細胞です)が異常を感知し抗原を取り込み、ヘルパーT細胞に提示します。ヘルパーT細胞にはTh1とTh2があり、通常は主にTh1が司令塔となりB細胞から免疫グロブリンG(IgG抗体)を産生します。これが正常な免疫反応です。しかし、アトピーの場合はTh2が主な司令塔となってしまい、体内での情報伝達物質として働いているサイトカインと呼ばれる物質が産生されます。痒みにおける主要なサイトカインは、IL(インターロイキン)4.5.10.13.31で、とくに犬ではIL-31が重要です。

炎症によって放出されたIL-31ですが、これはまず、知覚神経の細胞膜表面の受容体に結合します。すると、その受容体に存在するヤヌスキナーゼ(JAK)と呼ばれる酵素が反応し、痒みを伝えるタンパク質が形成されます。このタンパク質形成により、痒み刺激が知覚神経をつたって脊髄、そして脳へ伝わり、「痒み」として認識されます。

痒みを脳が認識すると、つぎに「ひっかく」という行為を引き起こします。このひっかく行為により、皮膚表面が傷つけられ、さらに炎症が起こり、サイトカインが放出され神経に伝わり、さらなる痒みとして認識されるようになります。また、ひっかく行為は皮膚のバリア機能も低下させるため、アレルゲンが体内に入りやすくなり、少しの刺激にも敏感になり、炎症が起きやすい土壌の形成にもつながります。一度炎症が起きて、脳に痒みとして認識されてしまうと、炎症→痒み→ひっかく→炎症…という負の循環が完成してしまいます。

ひっかくことで痛くなり、痒みが治まったような感覚になったことは皆さん経験があると思います。これにも神経が関与しています。痛みと痒みはそれぞれ担当する神経が異なっており、痛みを感じる神経が活性化すると、痒みを伝える神経を抑える神経伝達物質を放出すると考えられているのです。ヒトのアトピー性皮膚炎などでは、この痛み神経による痒み神経の鎮静経路に異常があり、かいてもかいても痒い、という状態になっているのではと推察されています。

オクラシチニブは、IL-31が知覚神経の受容体に結合したのちの、最初のステップであるヤヌスキナーゼ(JAK)の反応を阻害します。JAKを特異的に阻害すれば、IL-31が放出されたとしても、その後のステップが進まず、痒みを脳が認識しづらくなります。そのため、ひっかく行為につながらず、負の循環に陥りづらくなるという仕組みです。このように、ある特定の物質のみに作用する薬は「分子標的薬」と呼ばれています。人では癌の治療薬で最も研究に力の注がれている分野で、獣医領域においても最近ちらほらと薬がでてきました。分子標的薬の良いところは、特定の物質のみを標的としているため、全身に影響を与えることが少ないところにあります。

オクラシチニブは飲み薬ですが、ヒト用の外用のJAK阻害剤(デルゴシチニブ、商品名コレクチム軟膏)も登場しました。


こちらもご参照下さい
No23 アトピ-1
No24 アトピ-2
No25 アトピ-3


No.248 スケーリングと犬の寿命

犬の寿命のリスク因子については様々な研究がされていますが、Silvan R.Urfer氏らは、アメリカで約237万頭の犬の調査を行い、その結果、年に1度程度の歯石の除去(スケーリング)を行っている犬は、死亡リスクが約20%低下していることがわかりました。

歯垢が歯に付着するのは24時間以内であり、この歯垢を除去しないと唾液中のミネラルと反応して歯石ができ始めてしまいます。この期間は3日くらいといわれています。さらに2週間で歯肉炎が引き起こされます。そのまま放置すると、いずれ顎の骨が溶けてくる歯周炎へ進行します。歯周病を放置すると、口腔内の問題だけではなく、眼窩下膿瘍や口腔鼻腔瘻という外科的な介入が必要な状況、また、心臓、肺、肝臓、腎臓など様々な臓器の病気として関連することがわかっています。

きちんとしたスケーリングは、歯の裏側や歯周ポケットの歯石を除去することが必要です。それには全身麻酔が必要ですが、症状が軽いうちに行うほうがリスクも当然下がります。

歯石のつき方は、遺伝的な側面が多いですが、普段のケアとしては、デンタルブラシで歯磨きをしてあげる事が最も推奨されています。最初は嫌がる場合も多いので、おやつなどを利用し、少しずつ時間をかけながら習慣づけてあげて下さい。ガムやジェルなどの効果は限定的です。

こちらもご参照下さい
No18 歯石
No97 歯周病1
No98 歯周病2
No108 高齢動物の歯の疾患
No134 プラークコントロール
No218 口腔鼻腔瘻


No.247 猫の変形性関節症 (Degenerative joint disease;DJD)

猫の変性性関節症(DJD)とは、関節に炎症が発生した状態で、関節面の摩耗や関節にかかる荷重バランスの変化によって軟骨にダメージが蓄積することで発症します。軟骨が破壊されると周囲の滑膜の炎症が誘導され、滑液中へのヒアルロン酸分泌が減ることでさらに軟骨代謝が悪くなり、軟骨の変性が進む悪循環により、関節構造は本来のクッションとしての役割を充分に発揮できなくなっていきます。痛みや運動障害、生活の質の低下をもたらす疾患です。高齢の猫の約90%の猫がX線検査でDJDの徴候を示し、うち40%の猫では疼痛に関連する臨床症状を示すとされています。

原因としては加齢による関節軟骨の老化がまずあげられます。猫では少ないですが、前十字靭帯断裂、膝蓋骨脱臼、股関節形成不全等の整形外科疾患や外傷、場合によっては栄養的な問題も要因となり得ます。そのほかスコティッシュフォールドなどの特定の猫腫に特徴的にみられる骨軟骨異形成症といった遺伝的疾患によって若齢から症状を現すこともあります。また、肥満による関節への負担増は疾患の発症と悪化のリスクを高めます。

しかしながら、猫のDJDは十分に診断・治療がされていません。その理由の1つに臨床症状として跛行が認められづらいということがあげられます。そのため、飼主さんはDJDの臨床症状を加齢に伴う変化と認識してしまうことが多くあります。このようなことから、猫の飼主さんに対するDJDのスクリーニングのためのチェックリストをノースカロライナ大学の榎本先生らが作成しました。

・あなたの猫は普通に跳び上がりますか?
・あなたの猫は普通に跳び降りますか?
・あなたの猫は普通に階段を上りますか?
・あなたの猫は普通に階段を下りますか?
・あなたの猫は普通に走りますか?
・あなたの猫は動く物(おもちゃなど)を追いかけますか?

上記に1つでも当てはまる場合は変性性関節症(DJD)の可能性があります。

治療のメインは痛み痛みの管理です。NSAID(非ステロイド系抗炎症薬)、サプリメント、半導体レ-ザ-などで炎症を取り除き痛みを和らげます。また、減量も重要です。早目に診断・治療をして、猫の痛みを取り除いてあげましょう。


No.246 ホルネル症候群 (Horner syndrome)

眼と眼瞼を支配している交感神経の麻痺によって起こる病態です。通常は片側だけに生じます。特徴的な症状は以下の4つです。

・瞬膜の突出
・縮瞳
・眼瞼下垂
・眼球の落ち込み

診断は上記の特徴的な臨床症状に加え、神経学的検査、フェニレフィリン点眼検査、血液検査やレントゲン検査、超音波検査、場合によっては、CTやMRIが必要な場合もあります。

原因は様々な原因により何処かしらの交感神経経路が遮断される事によって発生します。交感神経経路は大きく分けて以下の3つにわかれており、どの部位で遮断されるかで症状が異なります。検査を行っても原因が特定できない事もしばしばあります。頭部や頸部の外科手術の後に起こる場合もあります。
・脳から脊髄にかけて:
腫瘍や脳脊髄炎などに伴って発症することがあります。
ホルネル症候群以外の神経症状が出る事も多くあります。
・脊髄から頭頸部の神経節にかけて:
神経周辺の腫瘍や首に対する傷害(チョークチェーン、交通事故など)に伴って発症します。
・頭頸部の神経節から眼窩まで:
中耳炎やその他の原因で発症します。

治療は原疾患の治療です。特発性(原因不明)の場合は経過観察ですが、数週間~数ヶ月で自然治癒する場合もあります。


ホルネル症候群のゴールデンレトリーバー