No.148 乳歯遺残

正常な犬や猫では、3~4ヶ月齢から乳歯が抜け始め、全ての永久歯は6~7ヶ月齢でほぼ萌出(歯が生える事)を完了します。乳歯の歯根の再吸収が不完全、もしくは全く起きずに乳歯が抜けない場合を乳歯遺残、または遺残歯と言います。7ヶ月齢を経過し、永久歯が萌出しているのに乳歯もしっかりと残っている場合、その後に乳歯が自然に抜ける可能性は低くなります。とくに、小型犬や短頭種に多くみられます。

乳歯遺残は、不正咬合や異常摩耗が起きて、口内炎、エナメル質や歯牙の脆弱化の原因となります。また、歯垢・歯石が沈着しやすくなり、将来歯周病を起しやすくなります。

治療は外科的に乳歯抜歯を行います。全身麻酔下で、乳歯を歯根から完全に除去します。永久犬歯に不正咬合がある場合、同時に矯正を行う事もあります。永久犬歯の矯正は7~8か月齢までが理想ですが、遅くとも10~11か月齢までにと言われています。月齢的に、去勢手術・不妊手術と同時に行うことが多いです。