No.116 会陰ヘルニア(Perineoceie)

会陰ヘルニアは、直腸を支える筋肉(肛門挙筋)がホルモン(とくに性ホルモン。また、甲状腺ホルモン、副腎のホルモンの影響を受けているとも考えられています)の影響により萎縮して、直腸が外肛門括約筋と尾骨筋の間からヘルニアを起こし、しぶりや排便困難をといった症状をしめす疾患です。重度になると膀胱や前立腺もヘルニアを起こし排尿困難になる場合もあります。

中・老齢動物の未去勢オスに多くみられる疾患で、さまざまな犬種で発生します。とくに、M・ダックスフント、ウェルシュ・コーギー・ペンブローブではよく起こります。猫にも稀にみられます。また、ほとんどの症例で両側性です。

治療は外科的な修復で行います。様々な術式がありますが、当院では現在、内閉鎖筋・浅殿筋フラップと去勢が行われていない場合は去勢手術、病態が重度の場合は腹腔側から直腸の腹壁縫合と精索を利用して膀胱・前立腺の脱出を防ぐ術式を組み合わせます。全て行うと3~4時間かかります。手術が上手くいっても数年後に再発する場合があります。

初期の方が手術も簡単に済むのはもちろんなのですが、直腸がヘルニアを起こす前にみつけるのは、なかなか大変です。可能なら症状のないうちに発見して、手術をするのが推奨されます。高齢のワンちゃんを飼っている方は肛門の横をよく触ってあげてみてください。

会陰ヘルニアの予防は若い時期での去勢手術です。