No.11 フィラリア予防

フィラリア予防

今年もそろそろフィラリア予防のシーズンです。今回はフィラリア(犬糸状虫、Heartworm)についてです。

まずは一番重要なこと

『フィラリア症は犬にとって死に至る疾患であるが、必ず予防出来る疾患である』

私が幼稚園児だったころでから今から約40年近く前ですが、かわいがっていた甲斐犬が腹水が溜まり亡くなったのを今でも鮮明に覚えています。

フィラリア症という病気は蚊を媒体として感染する寄生虫疾患で、成虫は主に肺動脈や右心室に寄生し、犬に右心不全徴候(腹水、肝障害など)肺高血圧などを生じさせ、治療が間に合わなければ死に至ります。また、急性のフィラリア症は後大静脈症候群(VCS)と呼ばれ緊急の手術が必要です。

成虫は♂が約15cm♀が約30cmあり乳白色で茹でた素麺のようです。虫が毒素を出したりするのではなく、物理的に血流を阻害することによって上記のような症状を起こします。成虫がL1(1期幼虫)を産み→蚊が吸血時にL1を吸い→蚊の体内でL1→L2(2期幼虫)→L3(3期幼虫)と発育し→また今度はL3が蚊の吸血時に吸血孔から犬の体内へ戻り→L4(4期幼虫)→L5(5期幼虫)→成虫という発育環を7~8ヶ月かけて繰り返します。

今のところ予防は、1ヶ月に1度の飲み薬、1シーズンまたは1年間効果のある注射などが一般的です(これからはスポットタイプも信頼性が上がれば使われるようになるかもしれません)。いずれの薬も予防薬というよりは駆虫薬です。犬の体に進入した幼虫を殺す薬です。飲ませた日から約1ヶ月前に侵入した幼虫をやっつけます。ですから予防薬は蚊の出始めた次の月(横浜では5~6月ぐらい)から蚊がいなくなった次の月(11月~12月)までが投与期間です(1年間効果のある注射はいつ射っても良いことになります)

どの予防法をチョイスされても良いのですが、シーズン最初の薬の投与前か注射の前には必ず血液検査を受けて下さい。もし、フィラリアがいることが疑われたなら対処は違ったものになります。もちろん100%の検査は存在しませんが、1年に1度の簡易的な健康診断の側面もあります。近年では、毎年きちんと予防しているワンちゃんたちには、健康診断としてのウェートの方が大きいですね。

しつこいですが、もう一度

『フィラリア症は犬にとって死に至る疾患であるが、必ず予防出来る疾患である』