No.19 熱中症、熱射病

人でも例年の3倍の方が救急車で搬送されているそうですね。熱中症、熱射病は、急いで治療が必要な緊急疾患です。犬や猫、兎やフェッレットも、汗をたくさんかけないのと良い毛皮を着ているので、周囲の高い気温に人よりかなり弱いです。動物はもっぱら、あえぎ呼吸(パンティング)で自分の体内の温かい空気と周囲の冷たい空気を交換しようとします。周囲の気温が体温に近いと、呼吸での冷却の効き目はなくなってしまいます。とくに以下のような場合は気をつけなければなりません。

・炎天下、直射日光の下に放置

・炎天下で車内に放置

・コンクリートやアスファルトの上に放置

・高温多湿の中での激しい運動

・口輪をしてのドライヤー

・短頭種、高齢の動物

・心臓や気管、肺にトラブルを抱えている動物

・てんかんの持病がある動物

・以前に熱中症にかかったことがある動物

熱中症の主な症状は、高体温、激しいあえぎ呼吸と呼吸困難、舌や粘膜の色が鮮やかな紅色となります。唾液は濃く粘っこくなり、嘔吐、下痢が始まる場合もあります。ひどくなると、脱水が起こり、腎前性の高窒素血症となり、痙攣を起こしたり、シヨック、虚脱、DIC(播種性血管内凝固)という状態になり死亡します。

応急処置は体を冷やすことですが、最近では、氷水風呂などで、いきなり過度に体温を下げるのは良くないと言われています。涼しい部屋に安静にして、濡れタオルや霧吹きなどで少しずつ体温を下げるのが推奨されています。しかし、軽い症状の場合以外は点滴やショックの防止などの治療も必要となります。熱中症を疑ったら必ず診察を受けて下さい。

もちろん、一番大切なのは予防です。あたり前のことですが

・暑い時間帯は外に出さない、運動を制限する

・毛を短く刈る

・車内に放置しない

・いつでも水が飲めるようにしておく

・動物がエアコンが嫌いという場合でも、涼しい部屋に出入りが自由に出来るようにしておく

・散歩時は保冷剤をタオルにくるんで首に捲く

・部屋にタオルにくるんだ保冷剤を置いておく

そして1番大事なのは

暑い日はエアコンを使うこと です。

当然、節電は大事ですが、他のところで頑張っていただいて、動物のいる場所はエアコンを使いましょう。湿度や風通しにもよりますが、基本的には25~26℃くらい、人間が半袖でちょうど良いくらいが上限です。