No.20 マッサージ1

マッサージは人の理学療法の1つとして必要不可欠です。動物においても効果的で、心地良さを感じてくれるワンちゃん猫ちゃんはたくさんいます。基本的なマッサージのやり方について解説します。

痛みや激しい運動は筋肉の緊張を引き起こし、筋肉は硬くなり、血流が低下します。血流が低下すると、その部位への酸素の供給が減り、老廃物を除去する力も低下します。そのため『痛み→筋肉の張り→痛みの増加』という悪循環に陥ります。マッサージの効果はこの悪循環を断つために行われます。また、痛みを緩和する脳内物質のエンドルフィンの放出を刺激します。マッサージにより血流が増加すると、組織の温度と弾力性が増し筋肉の回復を促します。医学的には癒着を剥離する効果もあります。そして、愛情を持ったマッサージは動物と飼い主さんの絆を深めます。

上記のことから、マッサージの適応としては

・脊髄疾患、関節疾患による筋肉の張りを改善するため

・筋肉や関節の機能を回復させるため

・神経疾患のときの体性感覚の改善のため

・血液やリンパ液のうっ帯の予防のため

・トレーニング前後の筋肉のケアのため

・癒着の予防、剥離のため

が、主なものとなります。

マッサージをしてはいけない場合もあります。炎症や感染、発熱があるとき、腫瘍や心疾患、出血性疾患のある場合は注意が必要です。また、触られたくないっていうペットちゃんもいます。触られるのが嫌いな動物には、本当に軽く短い時間から始め、焦らずに行って下さい。マッサージがストレスになってしまったら意味がありません。

マッサージの準備として、静かな部屋、軟らかく弾力性がある床材が必要です。また、術者がリラックスすることも重要です。

マッサージの方法には、軽擦法(ストローキング)、揉拌法(ニーディング)、強揉法(フリクション)、円を描くような圧迫法、振動法(シェイキング)、叩打法(パーカッション)などがありますが、簡単にいえば、擦る、揉む、叩くです。次回に解説します。