No.23 アトピー1

アトピーとは簡単に言うと、環境中の抗原(免疫反応を起こさせる物質の総称、食物、花粉、ハウスダスト、ハウスダストマイト、カビ、昆虫など)に対する、不適当な、あるいは過剰な免疫反応のことです。

全ての犬うち約10%がアトピーに羅患しているといわれています。猫にはきちんとした統計はありませんが犬よりは少ないようです。初発年齢は犬で6ヶ月~7歳ということになっていますが多くの場合は1~3歳です。猫でも若いときに発症する場合が多いようです。80%は夏に始まり、多くの場合、だんだんと季節に関係なく痒みが出て来てしまうようになります。

遺伝性疾患と考えられていて、寄生虫(ダニ、ノミ)、ウィルス、細菌(ブドウ球菌)、カビ(マラセチア)などの感染で悪化します。好発犬種は、ウエスト・ハイランドホワイトテリアを筆頭とする各種テリア、M.ダックスフント、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、シーズー、柴犬、T・プードル(とくにアプリコット)、ポメラニアン、シャーペイです。なんか、日本で多く飼われているほとんどの犬種ですね。猫では好発種は認められていませんが、気管支喘息を伴う場合がよくみられます。皮膚病変はなく症状は咳だけという場合もよくあります。犬では咳を伴うことはまれです。

症状は、紅班(皮膚が赤くなること)と強い痒みが、顔面、四肢端、肘、腹部、脇、股、外耳、眼の周りなどに出ます。慢性化すると、皮膚は苔癬化(硬くなってくること)し、黒く色素沈着してきます。

診断は、病歴と臨床症状が主となります。臨床検査は、まずは、皮膚を軽く引っ掻いたり毛を抜いて、細胞と毛や毛根の状態、フケなどを顕微鏡で観察し、疥癬、真菌(とくにマラセチア)、接触性皮膚炎、細菌性毛包炎、ビヘイビア(精神的要因)などの痒みが強い疾患との鑑別をします。次に、症状によってですが、甲状腺、副腎、精巣、卵巣などの各種ホルモンの異常がないかを調べます。その後、食事に対するアレルギーを除外(除去食試験)し、必要ならば皮内反応試験(抗原を皮膚(皮内)に少量ずつ注射し、皮膚の反応を診る検査)を行います。

臨床症状からの犬のアトピーの診断基準です。

1.発症年齢が3歳以下

2.室内飼い

3.ステロイド剤に反応する痒み

4.慢性・再発性のマラセチア感染症

5.前肢に皮疹あり

6.耳介に皮疹あり

7.耳介辺縁には皮疹なし

8.背中側には皮疹なし

上記のうち5~6項目が当てはまる場合、アトピーを強く疑います。

治療はシャンプー、食事、外用剤、内服剤の組み合わせとなります。次回から詳しくご説明します。