No.86 デング熱 (Dengue fever)

70年ぶりに国内でデング熱が発生し(海外への渡航者を除く)、ちょっとした騒ぎになっています。デング熱はデングウイルスが感染しておこる急性の熱性感染症で、ヒトでは発熱、頭痛、筋肉痛や皮膚の発疹などが主な症状です。

最近「動物にも感染しますか?」という質問をよく受けます。デング熱は人畜共通伝染病なので犬や猫などの動物にも感染します。日本ではヒトスジシマカが媒介能力のある蚊として全国に生息しています。ウイルスに感染した患者さんや動物を蚊が吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖し、その蚊が別のヒトや動物を吸血することでウイルスが感染します(蚊媒介性)。フィラリアと一緒ですね。ヒトからヒト、ヒトから動物、動物から動物などで直接感染するような病気ではありません。潜伏期間は3~14日といわれています。また、感染しても発症しないことも多くみられます(不顕性感染)。

動物の症状は報告があまりないのでよくわかりませんが、おそらくヒトと同じような熱性感染症の症状が出るものと思われます。

ウイルスが原因の疾患ですので、治療は対症療法となります。きちんとした治療が早期になされれば死んでしまうような病気ではないといわれています。また、今のところ有効なワクチンはありませんので、予防は蚊に刺されないこと、発生した場所に近づかないことです。

過度な心配はいらないと思いますが、蚊には注意したいですね。